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長く続けていればいいことがある メジャーデビューアルバムを発売 スカート・澤部 渡さん

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 インディーズ音楽シーンで「最後の大物」と評された澤部渡さんのソロプロジェクト「スカート」がメジャーデビューアルバム「20/20」を発売した。がっちりとした体格とは落差があるさわやかなシティポップのイメージが強いが、歌詞には苦みのある陰影もにじみ、その重層的な音楽世界は小説や漫画など他ジャンルに触発されて浮かぶことも多いようです。

 -下戸だそうですが、福岡など地方ツアーでは飲みに誘われて困ることも多いのでは?

 ★澤部 4月に川本真琴withゴロニャンず、と一緒に福岡に来た際にも、酒好きなゴロニャンずのメンバーに誘われましたが、すっとかわしました。屋台は行ってみたいんですが…。

 -福岡にはどんな印象がある?

 ★澤部 音楽の街。ナンバーガール、スピッツの草野さん、椎名林檎さん、シーナ&ロケッツやASKAさんも出身だし。

 -ASKAさんといえば、光GENJIが好きだったそうですね。

 ★澤部 デビューアルバムはチャゲ&飛鳥がそれぞれ曲を書いていて、チャゲさんの曲もすごいけど、当時のASKAさんの曲はおかしいという域。ASKAさん自体のソングライティングに変革が起きる前夜なのでその一端が見えて楽しい。

 -澤部さんも他人に楽曲提供したいですか?

 ★澤部 藤井隆さんのアルバムに1曲書かせてもらったんですが、自分が歌わない言葉、メロディーであるという自由を感じた。スカートの曲は自分が歌うのが念頭にあるので。スカートでも別に制約はなく、こんなキーの曲ができてしまったけどこの音域は自分では出せないぞ、って時は無理やり出して歌っています(笑)。

 -新作はラッパーのイリルメこと鴨田潤さんの小説「てんてんこまちが瞬かん速」がモチーフだそうですね。

 ★澤部 好きな小説で作中に出てくる「20/20 VISION」って言葉が頭にずっとひっかかっていた。視力検査の時に使われる言葉が転じて、ラッパーが「俺はよく世界が見えているぜ」って意味で使う言葉ですが、アルバムが完成に近づくにつれ、視界がよくみえてくる感じがしたんです。(収録曲の)「視界良好」ができた時に、これが20/20 VISIONかって感覚もあって、アルバムタイトルを「20/20」にした。

 -まさに視界が晴れた感じだったんですね。前作「CALL」からどう変化したのでしょう?

 ★澤部 前作は自分の中で1周した気がしたんです。音楽活動を始めたころからぐるーっと回って、またその同じ線をなぞるべきかと悩み、今まで書いてきた円をよく見直した。気の向くままに曲を書いてきたけど、それだけではアルバムが成立しなくなった。

 -前作までで自分をすべて出し切ったということですか?

 ★澤部 そうです。でも、今作ではさらにその先に行けた気がしています。

 -スピッツの「みなと」に口笛で参加して話題にもなりました。

 ★澤部 カーネーションの直枝政広さんに口説かれてステージでセッション的に口笛を吹いたことがあったんです。それをスピッツのディレクターがご覧になっていて、あの曲に口笛を入れたいって話になった際に、嫌みにならないぐらいの「うますぎない口笛を吹ける人」として僕のことを思い出したみたいです。何がチャンスにつながるか分からないなと思いました。音楽活動を続けるのがしんどい時期もあったんですが、長く続けてさえいればどんな形であれ、いいことがあるのかも、と思いました。

 -漫画も好きだそうですね。

 ★澤部 音楽は耳で聞くのみで、ものとしては存在しない。だから手で触れて目で読める漫画という存在に憧れるんです。

 -最近はまっている漫画は?

 ★澤部 衿沢世衣子「うちのクラスの女子がヤバい」、高浜寛「ニュクスの角灯」、沙村広明「波よ聞いてくれ」などです。漫画のちょっとしたコマ割りで、人間の表情とか景色に微細な変化を感じる。これをどうにか音楽にできないかな、と触発されてギターを持つこともあります。

 ▼スカート/さわべ・わたる 1987年12月6日生まれ。2006年、多重録音レコーディングを中心に活動開始。現在はサポートメンバーを迎え活動する。テレビ番組「山田孝之のカンヌ映画祭」のエンディング曲と劇伴を担当。挿入歌を担当した映画「PARKSパークス」には出演もした。12月1日午後7時から福岡市でライブがある。


=2017/11/05付 西日本新聞朝刊=

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