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博多の太陽 芽瑠はまた昇る HKT初代センターから選抜落ち、試練ばかりのアイドル人生

HKT48としても、総選挙でも「巻き返し」を誓う田島芽瑠(撮影・古川泰裕)
HKT48としても、総選挙でも「巻き返し」を誓う田島芽瑠(撮影・古川泰裕)
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16年・43位
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15年・32位
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●17日沖縄でAKB選抜総選挙

 今年もあと4日に迫ったAKB48選抜総選挙。9回目の今回は沖縄に初上陸、豊見城市の豊崎海浜公園美らSUNビーチで開票される。5月31日の速報では、新潟のNGT48・荻野由佳が1位に躍り出るなど“伏兵”が大躍進。例年以上に熱い戦いが繰り広げられている。一方、苦しいスタートとなったHKT48のチームH・田島芽瑠(17)も、苦境からの逆転を狙う一人だ。2期生ながらデビューシングル単独センターに就き、天真らんまんなキャラクターでファンに笑顔を届けてきた彼女も、昨年初のランクダウンを経験。今回も速報82位に甘んじている。振り返れば試練ばかりだったこれまでのアイドル人生。涙の果てに「巻き返し」を誓う「博多の太陽」の思いに迫る。 (古川泰裕)

 昨年6月18日、新潟のハードオフエコスタジアム。第8回AKB48選抜総選挙の結果が開票され、熱気渦巻くステージの陰で、少女は行方をくらませていた。

 芽瑠「行方不明になるつもりは無かったんですけど、本当にそのときは人と関わりたくなくて。周りで『おめでとう』って言ってる人とか、悔しいって泣いてる人がいっぱいいる中で、自分の居場所が分からなくなって。とりあえず一人になりたかったんです。でもまだ仕事があって」

 -写真撮影とか

 「そのことすら考えられなかった。迷惑をかけちゃって申し訳なかったな、と思います」

●初めて感情的に「力不足だな」

 「人前で泣くのは抵抗がある」。そんな彼女が感情を抑えきれなかった。4度目の総選挙で初のランクダウンという結果は、当時16歳の少女の胸に深く突き刺さった。

 「1年間の努力が、無駄じゃないけど否定されたような気持ちになってしまったので…自分のふがいなさがショックだったというか、『まだまだ力不足だな』と感じて。ステージ上で泣いてしまったんですけど、あそこまで感情的になるのは初めてだったと思う。それだけ自分に大きいダメージを与えた結果だったと思います」

 感情をはき出す場所と時間を求めて、暗闇に閉じこもった。

 「気付いたら、真っ暗なコンクリートに囲まれたような部屋に一人でいて。何を考えるでもなく、『考える』っていう思考を停止しました。『これ以上考えたら、もうダメだ』と思って、とりあえず思考を停止させて…ただ涙が流れるのに任せる、みたいな。(涙が)止められないから泣いていようって」

 泣くだけ泣いた後にわれに返り、自身に投じられた「2万1864票」を思った。

 「それでもやっぱり、投票してくださった方とか応援してくださる方は必ずいて…。この順位に入れるっていうことが、すごいことなんだっていうことを改めて感じました。結果にとらわれてしまって、ステージ上で泣いてしまったことがファンの方に申し訳なかったから、今年は絶対泣かない、って決めました」

●どん底も経験し「強くなった」

 躍進する先輩、同期、そして後輩たち。残酷なほど対照的な光景が、傷をさらに深くした。

 「周りが上がってる分、ドーンとダメージが来てしまいました。票数も順位も下がってたので。みんな、票数が下がったけど順位は上がったり、その逆もあったりしたけど、目に見えてどっちも下がったのは、ごくわずかだったと思う。この結果にならないっていう自信があったわけじゃなかったので。そういう自分がもっと嫌だったんですよ。自信をもって『絶対ランクダウンしない』って思えるような強さがなかった。ファンの方も『今年はやばいかも』って言っていて…それだけのことができなかったんだなっていうのを感じました」

 デビューは2012年。圧倒的な「陽」のオーラを放つ12歳に、多くの関係者が驚いた。「10年に一人の逸材」「第二の松井珠理奈」。オーディションに合格したばかりの少女が掲載されたスポーツ紙には、華やかな見出しが躍った。

 「最初に(前に)行き過ぎて『これ以上どうしたらいいのか』みたいなところで、今はどんどん下がってる。あの頃と比べられると、何も言えないです。あのときはあのときでつらかったけど、頑張り続ければどうにかなった。今はどれだけ頑張っても先が見えない。あの頃とは違う」

 4枚目シングルでセンターから陥落。じりじりと下がりながら、9枚目シングルでついに「選抜落ち」を経験。「どん底」を受け止め、それでも諦めずに上を見た。

 「逆に、今までの48グループの中で、誰も経験したことのないことを経験できていると思っていて。初代センターで、センターから外されることはあっても、選抜落ちしたメンバーなんてどこのグループにもいない。私だけが経験できることなんだって思うと、神様は乗り越えられる試練しか与えないんだって。乗り越えたいって思います。その先に、誰も見たことのない景色があるんじゃないかと思う。楽しみですね」

 -そこまで前向きになるのに…

 「結構かかりました。本当にどん底まで行ったので」

 -どん底はいつ?

 「去年の総選挙の投票期間中ぐらい。そこらへんをピークに壁にぶつかって。その後『最高かよ』(8thシングル)で最後列になったり…。自分の評価が下がってるって身に染みて感じたとき、これからどうしたらいいのか、本当に分からなくなって…。いっぱい悩みました。いまだに答えは分からないです。卒業するまで分からないと思う。自分がどこまで行けるのか、何をしたら上に行けるのか、ファンの人に教えてもらうのが一番だと思っていて。自分で考えても解決できないんです」

 ファンと探す自分だけの答え。今はまだその道の途中にいる。

 -速報は82位。巻き返すしかない

 「そうなんです。逆にファンの方と燃えられたら、この速報の結果も意味があったと思うので、82位っていう数字を刻み込んで追い上げていけたらと思います」

 -これまでもたくさん落ち込んできた

 「強くなった気がしますね。もう何回落ち込んだか(笑)。下がるところまで下がったんじゃないかって。ここまで来たら上がるしかない」

●HKTに恩返し「まだ修業中」

 -アイドルって、しんどい?

 「しんどいと思ってたら、もういないです。そこを乗り越えるための強さをもらえる場所というか。普通の高校生だったら持てなかった強さとか力を、ここで蓄えられるというか。最強の高校生活じゃないかなと思います。私の青春はアイドルなので。最強の青春していると思ってます(笑)。私には、アイドルをとったら何もないから。アイドルと向き合って、一緒に成長していくしか道がない。これからも、全力で頑張ります」

 その言葉に偽りなし。なりふり構わず行動に移す必死さを、一体誰が笑えるだろう。

 「昔は、かっこ悪いのがとにかく嫌いだったんですけど、今はかっこ悪い万歳(笑)。泥くさくてもいいじゃないかって。がむしゃらに、とにかく頭を下げまくってます。友達にも親戚にも頭下げて、投票してくださいってお願いして。理想のアイドルじゃないかもしれないけど、それだけ全力なので」

 -HKT48にとってどういう存在になりたい?

 「必要不可欠な存在になりたいし、何とかHKT48のために力になりたい。HKTに恩返しができていないので」

 -何をしたら恩返しなんだろう

 「それは、卒業するときに見つけるんじゃないかな、と思います。卒業するときに、HKTのために何が残せてるか、だと思うので。そこを見つけるために修業中なので、まだまだってことですね。まだまだ頑張れる」

 何度くじけても、かっこ悪くても。泥だらけの笑顔の先に待つ、誰も見たことのない景色を求めて。夏を待つ沖縄に、博多の太陽が輝きを取り戻しに行く。

◆田島芽瑠の総選挙VTR 2013年に研究生として初参戦し55位と健闘。チームHに昇格した14年は38位にジャンプアップ、15年にも32位と前進するが、16年は43位に。壇上で声を震わせながら「総選挙とかけて、扇風機とときます。その心は『どちらもファンが大事』でしょう」と、謎かけを披露するのが精いっぱいだった。今年も5月31日発表の速報値で「圏外」の82位と苦しいが、あきらめずに「昨年超え」と25位を目指して戦っている。

=2017/06/13付 西日本スポーツ=

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