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湯を沸かすほどの熱い愛 余命わずかな肝っ玉母さん

(c)2016「湯を沸かすほどの熱い愛」製作委員会
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 「湯気のごとく店主が蒸発しました…」。銭湯「幸(さち)の湯」に冗談めかして休業を知らせる紙が貼られている。

 双葉(宮沢りえ)の夫・一浩(オダギリジョー)は1年前、「パチンコに行ってくる」と出掛けたまま帰ってこない。双葉はパン店のパートで家計を支えながら、一人娘の高校生、安澄(杉咲花)を育てている。

 その双葉が末期がんに侵されていることが分かった。余命わずか2、3カ月の診断を受け、途方に暮れながらも、「生きているうちにやるべきことを」と自らを奮い立たせる双葉。そのバイタリティーがすごい。私立探偵を使い、浮気相手の家に転がり込んでいた一浩を捜し出して連れ帰り、銭湯を再開させるのだ。

 双葉は、学校でいじめを受けていた安澄を自分自身の勇気で乗り越えるように励まし、一浩と浮気相手との間に生まれた女の子にも愛情を注ぐ。彼女の生い立ちなど、さまざまに張り巡らせたエピソードが伏線となって、周囲のみんなに愛された“肝っ玉母さん”を見送る最終盤のシーンに収束してゆく。

 中野量太監督は商業映画デビューとなった本作をオリジナル脚本で仕上げた。

 子ができれば親になるが、血のつながりだけで親子の愛情が育まれるわけではない。是枝裕和監督の「そして父になる」ともつながるテーマを感じさせる物語だ。

 ▼29日からT・ジョイ博多など


=2016/10/23付 西日本新聞朝刊=

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