四季と旬の料理を楽しむ!日本人の心に根差す、歳時記レシピ本

歳時記おしながき 絵で楽しむ、四季を味わう 平野恵理子著
歳時記おしながき 絵で楽しむ、四季を味わう 平野恵理子著
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 目次に並んでいるのは四季のおしながき。どのような構成なのだろうと本書を開くと、どのおしながきも4ページで記されている。1ページ目は暦と詩人や歴史本からの引用文、暦の意味と料理のレシピ。2ページ目には著者によるおしながきの絵。3、4ページは見開きで暦の詳細が記載されている。最初から順を追って季節の移り変わりと料理を楽しむもよし、何気なく開いたページで幼いころの食卓を思い出すのもよし。気軽に楽しめる歳時記であり、料理のレシピ本である。

 例えばこのようなおしながきがある。二月八日の「針供養」。針の労をねぎらい、感謝をする行事である。折れた針や錆びた針を、やわらかな豆腐やこんにゃくに刺し、針だけでなく自分の労をねぎらうのだ。東京は浅草の淡島堂でも、盛大な針供養祭が催される。針といっても裁縫の針だけでなく、鍼灸師や畳職人など、幅広い職業の人の針も含まれ、少し前まではレコード産業に携わる人々も針をつかうということで供養に訪れたそう。家でなら、一丁の豆腐を針と自分で半分ずつ使い、半丁は針供養に、もう半丁は湯豆腐にしていただく。他にも誰もが知るものから初めて見聞きするものまで、さまざま行事とその日にいただく料理が紹介されている。

 日本では立春、立夏、立秋、立冬でそれぞれの季節が始まる。本書でも新年から始まって、春夏秋冬と進んでいく。ふと気づくのは、春と秋のおしながきは、夏と冬のそれに比べて多いということだ。それだけ季節の移り変わりが顕著に表れる季節なのだろう。ちなみに「針供養」は立春のあとなので春の行事に含まれる。

 今では多くの野菜や果物は、季節に関係なく一年中手に入る。それでも旬のものはその季節に食べることに意味があり、旬だからこそ新鮮でおいしい。日本人が昔から大切にしてきた四季折々の行事や習慣を、やわらかいタッチの絵と文が思い出させてくれる、懐かしさと暖かみを感じさせてくれる作品である。どうしてこの料理を今日、あるいはこの時季に食べるんだろう、と、意味や由来を知ることができれば、日々の食事をより楽しめるに違いない。


出版社:学研プラス
書名:歳時記おしながき 絵で楽しむ、四季を味わう
著者名:平野恵理子
定価(税込):1,620円
税別価格:1,500円
リンク先:https://www.amazon.co.jp/dp/4058005750/


西日本新聞 読書案内編集部

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