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廓の用心棒・幹次郎の活躍再び! 吉原裏同心シリーズ新章待望の第二弾!

浅き夢みし 佐伯泰英著
浅き夢みし 佐伯泰英著
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 著者・佐伯泰英氏による日本の時代小説シリーズ「吉原裏同心」の後継シリーズ「吉原裏同心抄」の第二弾。廓の用心棒・神守幹次郎とその妻・汀女、前シリーズで落籍された加門麻の3人の共同生活を軸に、新吉原遊廓の存続をかけた戦いが、再び幕を明ける。

 公儀から得た唯一無二の御免状「吉原五箇条遺文」が本作の要となっている。しかしながら、それ以外の登場人物にまつわる人間ドラマも多く、読みやすい構成である。吉原裏同心抄シリーズで魅力的な脇役である玉藻の婚礼の場面は、かつて吉原一の人気を誇った薄墨太夫こと加門麻が介添えを務める姿をはじめ、玉藻を取り巻く人びとの生きる世界が描かれており、「よい祝言であった」という幹次郎の台詞に読者も同感することだろう。

 一方で、吉原遊廓は華やかなだけではないことも描かれている。鉄漿溝(おはぐろどぶ)に限られた二万余坪の廓内で、自分らしいささやかな幸せを求め、生き方を模索しながら暮らす女郎もおり、複雑な心情を抱かせる。国立歴史民俗博物館教授・横山百合子氏の巻末解説によると、小説に描かれる遊廓像と歴史研究から浮かび上がる遊廓像とのあいだには距離があるようだ。本作読了後に解説を読めば、歴史上存在した遊廓と佐伯氏が描く遊廓像を照らし合わせることができ、さらに興味が深まることだろう。

 新章としてシリーズのタイトルは変わっているが登場人物は前シリーズと同じで、愛読者にはなじみ深い作品である。しかし、本作がシリーズ初という読者には登場人物の相関図、とりわけ幹次郎に思いを寄せる麻が汀女を姉のように慕うこと、この3人がどうして同じ屋根の下で暮らしているのか、など、残念ながら本作だけではわからないことが多い。本作までの流れを理解するためには、やはり二十五巻ある吉原裏同心シリーズから読むべきか。

 長編シリーズなだけにためらう読者もいるかもしれないが、一度ページを開いてみればたちまちファンになること間違いなし、だ。


出版社:光文社
書名:浅き夢みし
著者名:佐伯泰英
定価(税込):648円
税別価格:600円
リンク先:http://www.kobunsha.com/shelf/book/isbn/9784334775353

西日本新聞 読書案内編集部

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