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江原道(韓国) 平昌五輪が待ち遠しい

安藤忠雄氏が設計した「ミュージアムSAN」
安藤忠雄氏が設計した「ミュージアムSAN」
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ペ・ヨンジュンさんが宿坊体験をした月精寺
ペ・ヨンジュンさんが宿坊体験をした月精寺
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「宮中トッポッキ」(中央)やビビンパ(手前)など豊かな彩りが食欲をそそる韓国料理
「宮中トッポッキ」(中央)やビビンパ(手前)など豊かな彩りが食欲をそそる韓国料理
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海を眺めながらコーヒーが味わえる喫茶店「ボヘミアン パク・イチュコーヒー」
海を眺めながらコーヒーが味わえる喫茶店「ボヘミアン パク・イチュコーヒー」
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買い物客でごった返す江陵中央市場=今年2月
買い物客でごった返す江陵中央市場=今年2月
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 平昌(ピョンチャン)冬季五輪・パラリンピックを来年に控え、開催地の韓国東北部・江原道(カンウォンド)が熱を帯びている。平昌までは首都ソウルから車で約2時間半かかるが、年内にも高速鉄道が開通し、直結する仁川(インチョン)国際空港からは約1時間40分となる予定で、九州との距離はぐっと近くなる。日本とも意外に縁がある江原道を訪ねた。

 標高約270メートル。シラカバの並木を抜けると、真っ赤なアーチ状の造形物が視界に飛び込んできた。高さは約15メートル。一見して奇抜だが、奥にたたずむ石造りの美術館とは調和しているから不思議だ。

 美術館は世界を舞台に活躍する日本人建築家の安藤忠雄氏が設計した「ミュージアムSAN」。江原道西部の原州(ウォンジュ)市にあり、打ちっ放しのコンクリートを生かして光と影を演出する韓国でも人気の技法が取り入れられている。

 伝統の「韓紙(ハンジ)」に関する展示物や韓国近代絵画、海外作家の彫刻などが鑑賞できる。中でも“光と空間の芸術家”として名高い米国のジェームズ・タレル氏が手掛けた体感型の作品群が面白い。

 その一つ「完全な領域」には驚いた。8段の階段の上に掲げられた真っ白な「絵」を眺めていると、ガイドが「中」に入れと促す。どういうことかと「絵」に手を伸ばしてみると、そこは部屋の「入り口」だった。足を踏み入れると、目の前の空間は一定時間で周囲の色が変わる単色の世界。どこが壁なのかも分からず、どこまでも歩けそうな錯覚に陥った。

 山奥で出合ったアートは刺激的だったが、本来の江原道は四季折々の風景が楽しめる保養地。「冬のソナタ」を代表にドラマのロケ地が点在するのもそのためだ。主演俳優ペ・ヨンジュンさんの足跡をたどるファンは今もなお多く、ペさんが「テンプルステイ」と呼ばれる宿坊体験をした古刹・月精寺や、テーブルいっぱいの家庭料理を堪能した料理店「ソジチョガトゥル」は根強い人気スポットだ。

    ◇    ◇

 五輪会場は、スキーやジャンプなどの雪上競技と開閉会式を行う山間部の平昌郡一帯と、スケートなどの氷上競技を実施する日本海沿いの江陵(カンヌン)市に分かれる。標高約700メートルの銀世界と南北に松林が延びる海水浴場を結ぶ距離は車で約30分と近い。

 江陵にも日本との縁が深い場所があった。海岸線を望み、香り豊かな焙煎コーヒーが味わえる喫茶店「ボヘミアン パク・イチュコーヒー」だ。

 経営者で在日韓国人のパク・イチュさんは、日本で学んだ深いりの技法を韓国に持ち帰り、ローストコーヒーの文化を広めた第一人者だ。海沿いにカフェが立ち並ぶ「コーヒー通り」として江陵が知られるようになったのも、パクさんの影響が大きいという。

 そんな江陵の街も五輪を前に活気づいている。300店以上が密集する江陵中央市場には新鮮な魚介類や野菜が並び、屋台には長蛇の列。真っ赤なキムチに食欲がそそられる。現地の人によると、ここ数年で外国人旅行者が増えているという。

 2月に行われたフィギュアスケートのテスト大会を観戦し、五輪への熱気を肌で感じたゲストハウス経営者の鄭真娥(チョンジナ)さん(36)は「どの国の選手もベストが出せるような素晴らしい五輪となってほしい。江原道にまた来たくなるよう、お客さんを歓迎したい」と期待した。

 旅でより身近に感じた韓国。来年が待ち遠しくなった。

 ●メモ

 江原道(道は日本の県に相当)の8割は山岳地帯で、平昌郡(人口約4万人)など内陸部は国内で最も寒冷だが、沿岸部の江陵市(同約22万人)は比較的温暖だ。2015年に韓国観光公社の本社がソウルから同道の原州市(同約35万人)に移転、自然豊かな江原道のPRに力を入れている。仁川国際空港から江陵を結ぶ韓国高速鉄道(KTX)の新路線が12月に開業予定。仁川から平昌までの所要時間は98分、江陵までは111分を見込む。問い合わせは同公社福岡支社=092(471)7174。


=2017/06/07 西日本新聞=

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