西日本新聞

『今夜もイエーイ』を書いた 大竹聡さん  (本の雑誌社・1680円)

2010年09月13日 20:34
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 ●ウイッ、九州縦断焼酎旅もあるぞ
 
 お察しの通り自身の酔っ払い話をまとめたエッセー集だ。外はまだ少々明るいが、著者なじみの赤ちょうちんで、「酎ハイ二つと煮込み一丁!」。本のタイトルを決めたのはもちろん酒場だ。「編集者と何かの話題で酔っぱらって『イエーイ』って言ったら、『それでいきましょう』って」(笑)。「酒の話ってうんちくとか格好良く書く人が多い。でも僕は書かない」という。本書でも、カップ焼酎を飲みまくる九州縦断の旅や、酒屋が売値で飲ませる「角打ち」店巡りのほか、ガンマGTP(肝機能の数値)が高すぎて生命保険への加入を断られたり、断酒目的のお遍路に挫折した体験など身を切る話も面白おかしくつづっている。

 2002年創刊の雑誌「酒とつまみ」の編集長であり、フリーライターだ。事務所を共有するライター仲間らと何かやろうとなり、一致した関心事が「酒」だった。「どうせなら、どの雑誌もやらないことを大まじめにやろう」となった。

 例えば「ウコン割りと相性の良い酒の飲み比べ選手権」「10号だから日本酒10合飲む」など企画。その一つ、ホッピーのある酒場を飲み歩く「中央線で行く東京横断ホッピーマラソン」はちくま文庫から最近出版された。「酔客万来」欄では作家の故中島らもさん、重松清さん、映画監督井筒和幸さんらゲストと酩(めい)酊(てい)し、テレビ番組「タモリ倶楽部(くらぶ)」(テレビ朝日系)の酒飲み企画にも出演した。

 飲み続ける理由は「飲まなければ出会えなかった人や酒場にめぐり合えること」。新宿のバーで飲んでいると「隣のお父さんがマスターに『全部終わりました』と言う。耳をすませると『今日定年なんです』」。一方で「自らバカになって人を楽しませる酒場の天才に会った時は、その辺の芸人より面白い」。

 1963年、東京生まれ。高校時代、北杜夫さんにあこがれ、小説家を志望し、1日1冊読破を心掛けた。早大卒業後、広告会社を経て30歳でライターに転身。経営者やスポーツ選手など幅広く取材し、「志賀直哉特集」を手掛けた時は作家阿川弘之さんに原稿をチェックされ、緊張した。今も小説家を夢見て書き続ける。妻、娘3人と暮らし、娘にカクテルを作ってあげる優しい父親の顔も持つ。 (岩本茂之)

 (本の雑誌社・1680円)

=2009/09/13付 西日本新聞朝刊=

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