西日本新聞

『つみきのいえ』 平田研也 文  加藤久仁生 絵  (白泉社・1470円 )

2011年06月25日 19:06
写真
『つみきのいえ』 平田研也 文  加藤久仁生 絵  (白泉社・1470円 )
 ●思い出は色あせず
 
 海の上にあるちょっと変わった家に、一人のおじいさんが住んでいました。この街は海の水がだんだんと上がってくるので、まるで積み木のように、家の上に家を重ねて建てていかなければなりません。

 ある日、おじいさんがまた家を建てていると、大工道具を海に落としてしまいました。「やれやれ、とりにいくか」。潜水服を着たおじいさんは水中にある家に降りていきました。「あっ…」。大工道具があった家は、おばあさんをみとった家でした。

 さらに下へ、下へ。すると、どんどんと思い出があふれてきます。おばあさんと2人で楽しく暮らした家、カーニバルがあったときに住んでいた街中の家、そして最初の子どもが生まれた家…。

 2009年の米アカデミー賞で、短編アニメーション賞に輝いた作品を原作として描かれた絵本です。

 おじいさんは独りぼっちだけど、寂しくない。思い出が積み木のように重なった家と生きているのだから。優しい線の絵と文が、じんわりと心に残ります。


=2011/06/25付 西日本新聞朝刊=


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