西日本新聞

千年書房・九州の100冊

[日記]一覧

原田種夫「九州文壇日記」

ペンという「剱」に捧げた生涯

 粋な着流しに雪駄姿で福博の街を闊歩した文士を、人々は親しみを込めて「ハラタネさん」と呼んだ。
 「九州最後の文士」と呼ばれた原田種夫は、さまざまな顔をもっていた。
 明治生まれの詩人であり、芥川・直木賞候補に計四度選ばれた小説家。九州全域の作家が初めて結集した同人誌「第二期 九州文学」の編集発行人であり、西日本文...

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安本末子「にあんちゃん」

 幼いころ、4つ年上の姉によく遊んでもらった。両親共に働いていたため、小学生のころは学校から家に戻ると姉と2人のことも少なくなかった。友人とけんかして登校を渋っていた日には「お姉ちゃんが守ってあげるから一緒に学校に行こう」と励ましてくれ、いじめっ子には本気で立ち向かってくれた。「にあんちゃん」を読んで、そんな薄れかけていた記憶が呼び覚まされた。
 後に「アンネの日記」の日本版とも評され、全国...

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種田山頭火「山頭火日記」

 満州事変から3カ月後の1931年12月24日朝、山頭火は熊本県山鹿市の宿を出立し、福岡県境の峠を目指していた。
 菅笠(すげがさ)をかぶり、色あせた黒染めの法衣をまとっている。ずだ袋には大学ノートと万年筆をしのばせている。宿から峠まで16キロ。途中、門前や往来で経を唱え、米や金銭の施しを受けながらの上り道だから、峠を越えたのは日差しが傾き始めた午後だろう。夜には雪が降り、辺りを白く染めた。...

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