西日本新聞

千年書房・九州の100冊

[作品集・画集]一覧

平野遼「地底の宮殿」

透徹した思索を美に昇華

 タダものではない。
 それが、もう20年も前、最初に平野遼に会った時の印象だった。
 1987(昭和62)年秋、平野の西日本文化賞受賞が決まり、当時、北九州支社に勤務していた私はその喜びの声を取材するよう指示を受けた。
 《難解で奇怪な絵を描く画家》《独学で独自の画境を開いた人》―その程度の予備知識だけで、写...

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山本作兵衛「王国と闇」

 ふんどし一つ身にまとい、低く狭い坑道を腹ばいになって掘り進む入れ墨の男。後ろでは上半身裸で乳房をあらわにした女が、掘り出された石炭をかき集める。「先山」の夫と「後山」の妻の絵である。明治期の炭坑は、こうした過酷な労働に支えられていた。添えられた説明文には「炭丈(スミタケ)45センチ位までは坐(すわ)って掘るが、それ以下は寝て掘る」とある。彩色された絵は細部までが克明で、妥協を許さない乾坤一擲(...

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田中一村「田中一村作品集」

 田中一村は、奄美の自然を描いた孤高の画家である。世間が評価したのはその死後だった。そんな事情から彼の人生をたどる資料は少ない。例えば、誰に絵を習ったかということすら判然としない。なぜ奄美に来て、なぜ画風が一変したのかといったことに踏み込もうとすれば、現状では想像するしかない。奄美大島に来てあれこれ想像し、いくらか一村の気持ちに寄り添えた気分になった。そして、島を去るときふと脳裏に浮かんだのは「...

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