西日本新聞

『いのちをいただく』  文・内田美智子 絵・諸江和美 監修・佐藤剛史  (1260円)

2010年06月21日 20:56
 「給食費を払っているんだから、うちの子に『いただきます』を言わせないでください」。こんな考えを持つ母親がいると聞く。日本に伝わる食の儀礼について、良い悪いを論じるつもりはないが、こうした意見を生み出す背景には、食べ物の向こう側を想像しようとする「感性」の欠如があるのではないだろうか。
 
 本書は、「命と食」をテーマに講演を行う熊本県の食肉加工センターに勤める坂本義喜さんの体験談を基にした絵本である。坂本さんは「動物の命を私たちはいただき、生かされている」ことの意味を問い掛ける。

 「食卓に並べられた料理を見つめ、想像してほしい。生きていたニワトリや牛の姿、汗まみれになって畑を耕す農家や食事を作ってくれた家族のことを」(著者)

 物語は「いただきます」という言葉が持つ感謝の念と、日々食事をいただくことができる幸せを、私たちの心に深く刻み込んでくれる。問い合わせは出版部=092(711)5523。《A5変型判・1260円》


=2009/06/21付 西日本新聞朝刊=

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