<69完>福博から世界へ

昨年9月、静岡県で開かれた「吉田拓郎&かぐや姫inつま恋」は、決して若くはない団塊の世代を中心とした3万5000人もの人たちが集まり、社会現象にもなりました。いわゆる演奏会やライブに行くことが、世代を超え約半世紀をかけて、気軽なレジャーとして完ぺきに定着してきた証しです。
40年ほど前、ジャズピアニストの山下洋輔氏は、フォークシンガーに対し、こう語っています。「洋楽でも我(われ)々(われ)ジャズには先輩たちの見本が存在するけど、あなたたちの音楽は見本がない。今からやっていくことが皆新しいこと。大変だと思うが頑張ってほしい」
団塊の世代が還暦を迎えるこの数年、先人のミュージシャンたちがつくり上げてきた音楽はしっかり根を広げて、現代の若者音楽の魂となりました。
さて視点を福博の街に向けてみます。このシリーズでは、読者に分かりやすいように、世に知れ渡っているミュージシャンたちのストーリーを多く紹介してまいりました。
しかし、つくり出す音楽が時代に合わなかったり、東京の生活や人間関係になじまなかったりで、夢半ばにして、故郷に帰ってきたミュージシャンたち、それも単純に売れなかったミュージシャンたちのほうが、はるかに多いという事実を申し上げておきます。
もちろん、音楽から離れた仕事をしている方もいらっしゃいます。一方、地元で音楽にかかわり続け、歌ったり、ライブハウスを経営、楽器や歌の先生をしたりで、音楽を目指す若者たちの良き先生だったり、助言者、理解者でいたりする人たちが数多く福博の街にいます。彼らは皆、自分たちの音楽を持ち、現役なのです。自らつくり出す音楽にこだわり、愛し続けています。音楽には定年も、老いも若いもないのです。
そんな彼らの存在こそが、今からプロを目指すミュージシャンたちへの「打ち出の小づち」の役割を担い、大切な教師役でもあります。情報網や交通機関の発達などを考えますと、この福博の地から世界に向けて音楽を発信する時代が、すぐそこに来ていると確信しています。
「夢ひびく街」に乾杯!!
(聞き手 編集委員・川副修)
=おわり
=2007/06/25付 西日本新聞朝刊=
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2007年06月25日15時10分

- <69完>福博から世界へ
- <68>未来へ羽ばたく
- <67>反骨のレコード
- <66>福博・音楽の土壌
- <65>楽友往来(下)
- <64>楽友往来(中)
- <63>楽友往来(上)
- <62>音楽の聴き方
- <61>実演キューシュー
- <60>「林檎」の誕生
- <59>「筑豊の子守唄」
- <58>愛…そしてラーメン
- <57>ラーメン戦争勃発
- <56>慌てた断水騒動
- <55>陽水君がつなぐ縁
- <54>冬美さんが応援歌
- <53>苦難乗り越え10年
- <52>サマピに雷鳴が
- <51>「九州」打ち出し成功
- <50>冬でも汗ばむ熱気
- <49>陽水TV初登場!
- <48>「第九」をうたう
- <47>九州音楽時代
- <46>チャゲアス
- <45>コンテスト
- <44>「今夜は決めよう」
- <43>千春対ライオンズ
- <42>千春と陽水 激突!
- <41>早くもファンクラブ
- <40>北の麒麟児南で飛翔
- <39>ニッカーボッカー姿で
- <38>陽水と九響の共演
- <37>「氷の世界」100万枚突破
- <36>九州人大集合!
- <35>「母バラ」の戦略
- <34>汽笛一声!風雲東上
- <33>海援隊がゆく!
- <32>フォーク夏祭り
- <31>学芸会の気分で
- <30>「照和」誕生
- <29>旅立ちを支えた父
- <28>プロへの誘い
- <27>どうすれば注目?
- <26>歌う歯医者さん
- <25>同じ筑豊出身
- <24>天賦の才能伝えず
- <23>声に艶と憂い
- <22>陽水君との出会い
- <21>スマちゃん人気
- <20>イラストを募集
- <19>人気アナでアルバム
- <18>セレナ音楽出版設立
- <17>驚異的な聴取率
- <16>スマッシュ11
- <15>須崎公園の音楽堂
- <14>フォークの連合誕生
- <13>福博メジャー第1号
- <12>燎原の火のように
- <11>福博から音楽の波
- <10>満天の星空に熱気が
- <9>「博多んもん」パワー
- <8>20世紀最初で最後
- <7>お世話になった人たち
- <6>「東へ西へ」奔走
- <5>ふるさとへの恩返し
- <4>発端は酒飲み話
- <3>博多っ子の祭典
- <2>「故郷未だ忘れ難く」
- <1>陽水、財津、鉄矢、甲斐



