福博の音楽をつくってきたミュージシャンと放送局の面々(1993年、福岡ドームライブ開催記者会見後の記念写真)

 昨年9月、静岡県で開かれた「吉田拓郎&かぐや姫inつま恋」は、決して若くはない団塊の世代を中心とした3万5000人もの人たちが集まり、社会現象にもなりました。いわゆる演奏会やライブに行くことが、世代を超え約半世紀をかけて、気軽なレジャーとして完ぺきに定着してきた証しです。

 40年ほど前、ジャズピアニストの山下洋輔氏は、フォークシンガーに対し、こう語っています。「洋楽でも我(われ)々(われ)ジャズには先輩たちの見本が存在するけど、あなたたちの音楽は見本がない。今からやっていくことが皆新しいこと。大変だと思うが頑張ってほしい」

 団塊の世代が還暦を迎えるこの数年、先人のミュージシャンたちがつくり上げてきた音楽はしっかり根を広げて、現代の若者音楽の魂となりました。

 さて視点を福博の街に向けてみます。このシリーズでは、読者に分かりやすいように、世に知れ渡っているミュージシャンたちのストーリーを多く紹介してまいりました。

 しかし、つくり出す音楽が時代に合わなかったり、東京の生活や人間関係になじまなかったりで、夢半ばにして、故郷に帰ってきたミュージシャンたち、それも単純に売れなかったミュージシャンたちのほうが、はるかに多いという事実を申し上げておきます。

 もちろん、音楽から離れた仕事をしている方もいらっしゃいます。一方、地元で音楽にかかわり続け、歌ったり、ライブハウスを経営、楽器や歌の先生をしたりで、音楽を目指す若者たちの良き先生だったり、助言者、理解者でいたりする人たちが数多く福博の街にいます。彼らは皆、自分たちの音楽を持ち、現役なのです。自らつくり出す音楽にこだわり、愛し続けています。音楽には定年も、老いも若いもないのです。

 そんな彼らの存在こそが、今からプロを目指すミュージシャンたちへの「打ち出の小づち」の役割を担い、大切な教師役でもあります。情報網や交通機関の発達などを考えますと、この福博の地から世界に向けて音楽を発信する時代が、すぐそこに来ていると確信しています。

 「夢ひびく街」に乾杯!!

 (聞き手 編集委員・川副修)

 =おわり


=2007/06/25付 西日本新聞朝刊=

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