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長崎で培った偉大な感性 「静かに絵本読む子」 ノーベル文学賞イシグロさん

 ノーベル文学賞に決まったカズオ・イシグロさん(62)は長崎市で生まれ、5歳まで過ごした。授賞理由の「偉大な感性」はどう培われたのか。関係者に聞いた。

 イシグロさんが通った市内の幼稚園(現在は閉鎖)の担任だった田中皓子(てるこ)さん(91)=同市=は「待って、待って、待ちわびた末のカズオくんの受賞。本当にうれしい」。印象に残るのは「園内の絵本を1人で静かに読んでいる姿」。みんなではしゃぐ様子は見たことがなく「とても大人びた子でした」と振り返る。

 イシグロさんは1989年11月に来日した際、同園も訪れ、園長だった高木暢子さん(81)=同=が案内した。小説にも登場する路面電車を見たイシグロさんが「懐かしい」と興奮気味に話す様子を見て、「幼い時の記憶が潜在意識にあるんだと感じた」と言う。

 いとこに当たる長崎県川棚町の獣医師、藤原新一さん(71)は幼少時に近所に住み、よく遊んだ。わんぱくだった藤原さんに対し、「物静かでおとなしい子」。全作品を読んだ藤原さんは「ひょっとしたら親戚や(藤原さんの)母親がモデルでは、と想像したこともある」と話し、「生まれ故郷への愛着を感じる」。

 父親は長崎海洋気象台(現長崎地方気象台)に勤務。気象台によると「長崎海洋気象台の歌」という歌の作曲者として父親の氏名が記された楽譜が残る。イシグロさんには「夜想曲集」など音楽を題材にした作品があり、ミュージシャンを目指した時期があると語っている。気象台関係者は「お父さんから芸術的な素養を受け継いだのかもしれない」と想像を巡らせた。

 イシグロさんは米誌のインタビューで、母親は長崎原爆で被爆して負傷したと明かす。田上富久市長は6日、報道陣に「この授賞が、長崎に関心を持ち、平和を考える機会になってほしい」と語った。

=2017/10/07付 西日本新聞朝刊=

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