長崎県 産業遺産
軍艦島 上陸解禁を延期 長崎市 整備計画縮小 見学路の延長断念も
かつて炭鉱の島として栄えた長崎市西部の離島、端島(通称・軍艦島)を観光資源として活用するため、見学通路の整備を計画する長崎市が、安全確保策や財政上の問題などから、当初計画の大幅縮小を検討していることが30日、分かった。島への上陸解禁も整備工事の遅れから2008年4月から09年春まで約1年ずれ込む見通しだ。
端島は01年に、当時の高島町が企業から譲り受け、05年に高島町が長崎市に編入合併したことで市有地となった。
1974年の炭鉱閉山後、島は無人となったが、日本初の鉄筋高層アパートなど廃虚と化したビル群が近代化遺産として関心を集めていることもあって、同市は観光用に整備する計画を策定。島南東部に約220メートルの見学通路などを整備する事業費約1億円を07年度予算に盛り込んだ。
しかし、同市によると、工事の時期や内容について地元漁業者や海運業者らとの協議が予定より長引いたほか、桟橋から島内へ入る部分の壁に多数のひび割れが見つかり、新たに補修が必要なことも判明。工事が遅れる見通しになったという。現在、端島は観光客などの立ち入りが禁じられているが、長崎市は見学通路を整備した後、08年4月に上陸を解禁することを計画。09年度以降に見学通路をさらに島の東側に約300メートル、西側に190メートル延長する方針を立てた。
だが、延長には3億円以上が必要と見込まれる一方、島内に残る建物の老朽化が激しく、崩落の危険が高まっているため安全面の懸念が浮上。気象条件も厳しく、上陸可能な日は年間160日以下に限られる見通しで、費用対効果の問題も出てきた。同市は「安全面と厳しい財政事情などを考慮すると、見学通路の延長は難しい」と断念の方向で検討を始めた。
特定非営利活動法人(NPO法人)「軍艦島を世界遺産にする会」の坂本道徳理事長は「残念だが、しっかり安全を確保した上で公開してほしい」と話している。
=2007/12/31付 西日本新聞朝刊=
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