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産業遺産で輝き再び 炭鉱から観光へ-長崎市池島(08/13/16)

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模擬坑道の内部で、発破の起爆装置の仕組みについて説明を聞く子どもたち
 ●人口激減 アクセスに不安も 企業、住民、行政 連携かぎ
 
 長崎市の約7キロ沖に浮かぶ周囲約4キロの小島に注目が集まっている。九州最後の炭鉱が2001年に閉山した池島(長崎市池島町)。見学用の模擬坑道を新設し、21日からは地下65メートルの本坑道を一般公開する。最盛期の20分の1以下に人口が落ち込んだ現状を観光で活性化させようという取り組みだ。果たして、島は輝きを取り戻せるか。 (長崎総局・福間慎一)

 ◆新たな企画続々

 立て坑や住む人のない集合住宅のすぐ近くで、今も郵便局や店舗が営業している。日常と遺構が併存する空間に身を置くと、不思議と心が安らぐ。

 島で閉山後の炭鉱を管理し、国の委託事業でベトナムなど海外の技術研修生を受け入れてきた「三井松島リソーシス」は昨年12月、社内に観光推進プロジェクトチームを発足させた。「これからは、観光が事業の柱の1つになる」。チームの松浦雄二サブリーダーは力を込める。

 全長50メートルの模擬坑道や、足こぎトロッコを新たに整備。昭和三10年代に建てられたアパートの1室に当時の生活を再現し、屋上を展望台にする。これらに投じる費用は数千万円。目指す先には、狭い地域に炭鉱施設が集中する島の特性を生かした「炭鉱テーマパーク」的な姿が見える。

 21日から始まる本坑道の見学申し込みは順調だという。石炭産業を研究する釧路市立博物館(北海道)の石川孝織学芸員は「池島には現役に近い状況で施設が残っており、産業について学ぶ施設の価値は高い」と評価する。

 ◆人口8分の1に

 しかし、現実は厳しい。島の人口は現在約350人。転居などで01年の閉山時の約2700人に比べ約8分の1にまで減っている。残った世帯のほとんどは高齢者で、地域の美化作業もままならないという。

 観光で島が活性化するのか、疑問を抱く島民も少なくない。60歳代の女性は「島には特産品も何もない。観光といったって、物珍しさで1回来たら、おしまいじゃない」と話す。

 交通アクセスの不便さも問題だ。長崎市中心部から島に向かうフェリーが発着する港までは車で一時間以上かかる。そのフェリーを運航する西海沿岸商船(佐世保市)によると、2006年10月‐07年9月の旅客数(約5万2000人)は4年前の3分の1以下。同社は「赤字は深刻。今後は便数削減を含む対策を取らざるを得ない」と頭を抱える。

 島内には素泊まりの「池島中央会館」(市営)以外の宿泊施設がなく、観光客を受け入れる上で不安は尽きない。

 ◆釣り大会復活へ

 「このままでは、島は死んでしまう。何もしないと、ダメになるばかり」。島内で食堂を営む池島町港地区自治会長の近藤秀美さん(57)は力説する。

 長崎市は昨夏から地元住民や企業でつくる「池島活性化検討会」を開催。近藤さんが実行委員長になり、閉山前に島で開かれていた釣り大会を今年4月末に復活させることを決めた。地道な取り組みだが、市地域振興課の西田憲司課長は「訪れる人が1人でも増えるきっかけが必要だ」と話す。

 三井松島リソーシスも、今後は島内案内や坑内見学の運営補助などで住民数十人をアルバイトで雇う方針。住民との協働で活性化を図ろうとしている。

 再生への道はまだ見えないが、企業と住民、市行政の三者の連携が欠かせないことだけは間違いない。

=2008/03/16付 西日本新聞朝刊=

2008年03月17日17時16分

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