関西を訪れたとき

 関西を訪れたとき、「真田丸」と書かれたのぼりを各所で見掛けた。NHKの大河ドラマにかこつけた集客PRだろう。そういえば福岡市でも「軍師官兵衛」ののぼりが街じゅうに翻っていたのを思い出した。2年前のことだけど、すっかり忘れていた。

 ある事象が、後によく似た事象に置き換えられる。最初の事象の記憶は次第に忘れ去られる。よくあることだ。例えば「軍師官兵衛」の放送に合わせて、名称変更された西鉄バスの「平和台・鴻臚(こうろ)館前」バス停(現福岡城・鴻臚館前、同市中央区)。戦災復興の願いを込め、この地を平和台と名付けた人の思いは、記憶され続けるだろうか?

 だけど決して別の何かに置き換えられない事象は、ある。「8・6」「8・9」「8・15」「1・17」「3・11」。それを記憶し次代に伝える務めもあるはずだ。“大河”の流れのような人間の歴史は、1年単位でころころ変わるものではない。 (塩田芳久)

=2016/09/24付 西日本新聞朝刊=

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