火事でも起きたかのように灰にまみれ、今にも崩れ落ちそうなあばら家

 火事でも起きたかのように灰にまみれ、今にも崩れ落ちそうなあばら家。部屋の真ん中で、1人の老人が背を丸め、ぽつんとあぐらを組んで座っている。

 「おやじ? そこで何しよると?」。涙声で叫ぶと、目が覚めた。

 熊本地震から半年が過ぎた。あるじのいない阿蘇の実家は、建て替えようにも大工の手が足りず、今も変わり果てた姿をさらす。親戚の元に身を寄せた父母は、追い打ちを掛けるような阿蘇山の噴火や台風の接近に、不安な日々を送ってきた。「人が住まんと家はすぐ駄目になるって言うけど、本当やね…」。電話口で語る母の言葉が頭から離れなかったからだろうか。あれは実に嫌な夢だった。

 帰省しても「あの日」から何も変わっていない故郷の姿。避難所からようやく仮設に移る被災者もいる中で「ぜいたくなことは口にできない」と両親がうつむく。壊れた日常が過ぎていく。 (吉良治)

=2016/10/20付 西日本新聞朝刊=

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