拳を振り上げたその瞬間

 拳を振り上げたその瞬間、周囲の者が体を張って「暴力」を阻止していたら、と残念に思う。きっかけは酒席でのささいな出来事だったが「暴力」がもたらした結末は、元横綱日馬富士関の引退、貴ノ岩関の休場、貴乃花親方の理事解任決議など、加害者、被害者側双方と、その周辺にまで影響が及んだ。

 どことなく似たような様相なのが、今の日本を取り巻く国際情勢。米国、ロシア、中国の“横綱”勢に北朝鮮、韓国と日本が絡む。舞台は国際政治という密室だ。この1年、断続的に続いた米国と北朝鮮間の激しい舌戦は、致命的な「暴力」の応酬へ発展する可能性すら感じさせる。

 もし米国が拳を振り上げた時、日本はどう対応するのか。「黙認」「追従」では角界と同じ結末をたどるだろう。必要なのは、体を張ってでも「暴力」を阻止する姿勢と“品格”ある言動だ。尊い平和を守り抜く。お願いしますよ、安倍首相。 (吉留常人)

=2017/12/31付 西日本新聞朝刊=

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