故人となった幼なじみとの思い出を紹介して

 故人となった幼なじみとの思い出を紹介して「(私は)生きられるだけ生きるけん」と小欄に書いたのは昨年8月11日だった。その日に「いい言葉だな」と、メールをくれたのが直木賞作家の葉室麟さん。自身の体の変調を知った上でのメールだったのだろう。昨年暮れに亡くなった。

 所用で東京に出掛けた昨秋、葉室さんも東京で仕事をしていて、私の滞在先に立ち寄ってくれた。変わらぬ笑顔だったが、体は細く、歩きはゆっくり。夕食は半分ほどではしを置いた。私は疲れを悟り、宿泊を勧めたが「いや、新幹線で原稿が書けるから」と帰っていった。

 病床にあっても原稿を書き、校正ゲラに目を通していたと、ご家族からうかがった。どう生き、どう死ぬかを作品でも、自分自身でも示した人だった。葉室さんとの付き合いは30年を超えていた。別れから1カ月。その存在感はますます大きくなっていく。 (宮原勝彦)

=2018/01/24付 西日本新聞朝刊=

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