ある県庁で新たに審議会を立ち上げることになった

 ある県庁で新たに審議会を立ち上げることになった。担当の部長は、委員名簿の腹案を携えて知事室へ。ところがこれを見た知事が「うーん」とうなって動かない。部長は冷や汗もので部屋を出た。

 「この名簿、どこが悪いんでしょうか」。部長は秘書課に駆け込み、知事の交友関係を熟知する秘書課長にすがった。助言を受けた部長は、知事に近い有識者を名簿に加え、後日再び知事室へ。「君はこれでいいんだね」。部長がうなずくと、知事はその委員名簿を決裁した-。

 かつて勤務地の県幹部から聞いた話だ。なるほど組織に「忖度(そんたく)文化」を根付かせれば、トップは直接手を下さずに事を運べるというわけだ。もし問題が起きれば「何も指示していない」「部下が勝手にやった」と言えばいい。

 似たような話が政権中枢を揺るがしている。はっきりしているのは、リーダーの「ずるさ」を国民が見抜いているということだ。 (植田祐一)

=2018/04/16付 西日本新聞朝刊=

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