▼値下げ,交通

集客効果 大きな期待 高速道料金値下げ 観光地 プラン続々

 政府が景気対策として打ち出した高速道路料金引き下げが、28日から本格的に始まる。自動料金収受システム(ETC)機器を搭載した自動車は土・日・祝日に、首都高速など大都市圏以外の地方高速道を上限1000円で走れるようになり、九州の観光地は、集客効果に大きな期待を抱く。一方で、渋滞による混乱や環境負荷増も懸念される。客を奪われかねない鉄道やフェリー業界からは、「不公平だ」との不満も噴出している。 (経済部・浦上早苗)

 熊本県荒尾市で遊園地やホテルを運営するグリーンランドリゾートは、客の大半が車で訪れるため、高速道路の値下げは「より遠方からの集客につなげるチャンス」と力を込める。3月下旬から、広島県でテレビCMを始めたほか、宮崎、大分両県での広告出稿も増やした。定額給付金との相乗効果も狙い、3世代5人の入場券と遊具チケットを1万2000円で販売する「3世代プラン」も計画している。

 □久々の好材料

 昨春から夏にかけてガソリン高で客足が遠のき、昨秋以降は世界金融危機と円高で、韓国人旅行客が消えた-。この1年、逆風にあえいできた九州の観光地にとって、高速値下げは久々の好材料。各地がキャンペーンを打ち出し、集客を競う。

 宮崎市青島の青島グランドホテルの冨森信作社長は「“陸の孤島”の宮崎にとって、高速値下げ効果は大きい。山口県などもターゲットに入ってくる」と期待する。

 九州自動車道みやま柳川インターチェンジが29日に開通する福岡県柳川、みやま両市では、28、29日に広川サービスエリアで観光、物産イベントを開催。長崎県内の68宿泊施設は、ETCカードを提示した宿泊客に2000円を還元するキャンペーンに乗り出す。

 ●鉄道・船舶は危機感

 国土交通省によると、高速料金値下げに伴う経済波及効果は、観光消費が増えるなどし、2年間で1兆7000億円に達すると試算している。

 だが、高速道路が値下げされれば、自動車を使う人が激増し、他の交通事業者への打撃は必至。

 □「条件不公平」

 「みんな、今年は忘年会もできないと言っている」。九州で運航するフェリー会社が加盟する九州旅客船協会連合会(福岡市)の三宅徹専務理事は、業界の苦境を代弁する。コスト削減や運航時間短縮で高速道路に対抗しようと、寄港地を“リストラ”する会社も出てきた。業界には「不公平な条件で負けて、経営が悪化するのは本当に悔しい」と不満が渦巻く。

 対抗策を打ち出す動きもある。JR西日本(大阪市)は家族連れなどを対象に、新幹線こだまの料金を約4割引き下げるプランを販売。嶋哲久福岡支社長は高速値下げで「博多-広島など100-200キロの中距離区間が、相当な影響を受ける」と予想。「値段では対抗できないが、鉄道に乗ってみようと思わせる企画を出していく」と話す。

 □渋滞増を懸念

 20日に先行して高速料金が値下げされた本州四国連絡高速道路では、交通量が前年同期比2倍程度増加。「国はこれまで環境に優しい公共交通機関利用を推進してきたのに…」(バス会社幹部)と批判する声も多い。

 JR九州(福岡市)の石原進社長は「渋滞がひどくなれば、鉄道を選ぶ人も出てくるだろう。人の流れの変化を1カ月ほど分析し、対策を検討したい」としている。


=2009/03/28付 西日本新聞朝刊=

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