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牛丼春の陣 うま味は 利益二の次 「常連」奪い合い 集客効果も期間限定?

 牛丼チェーン各社が今春、期間限定の値引き合戦を繰り広げている。「並盛り」の価格は、吉野家が380円を270円(7―13日)に、すき家が首都圏を中心に百数十店で280円を250円(9―21日)に、松屋も320円を250円(12―23日)にそれぞれ値下げ。なぜこの時期に安売りするのか。そもそもこんな値段でもうかるの?

 「いつもの値下げです」。競争の先陣を切った吉野家を展開する吉野家ホールディングスの担当者はこう説明する。「食材費や人件費の節減といった安売りのための努力はしていない」という。

 同社は毎春、値引きキャンペーンをしている。この時期は、社会人や学生になった人たちに味を知ってもらい「常連」に取り込むチャンスと見ているからだ。今春も「その一環」と言うが、例年とは力の入れ方が違う。

 昨春は、50円引きで並盛り330円としたのに、今回は110円引き。2倍以上の大幅値下げに踏み切ったのは、昨年12月の値下げ競争に出遅れた劣勢を巻き返そうという狙いがある。しかし、「原価割れまではしていないが、思い切った値引き。期間限定じゃないと、とてもやれない」のが実情という。

 そんな業者側の事情をよそに、値下げ後、早速、吉野家に行ったという都内の大学院生男性(22)は「親の仕送りなしで生活しているから110円の値下げは大きな魅力だけど、こっちも期間限定。値下げが終われば、よそに行きます」。常連化は一筋縄ではいかないようだ。

 もちろん、こんな消耗戦が長続きするはずはなく、3社とも期間限定の値引き終了後は、再び元の価格に戻す方針。

 ただ、すき家は、次の一手を秘めているもようだ。ファミリーレストランやハンバーグチェーンなどグループで3700店以上を展開する外食大手だけに、店舗数は吉野家や松屋の3倍以上。コメの消費量だけでも年間4万トンに上る。

 担当者は「(大量仕入れで安く調達する)購買力が他社とは違う。スケールメリットは比較にならない」と胸を張る。

 昨年末の値下げの際は「むしろ牛肉の部位を変えて品質を改良した。客数が2割も増えた」と好調ぶりをアピール。「値引きは売り上げ拡大策だ」と強気の構えで、次の値下げカードをちらりとのぞかせる。

 味か安さか。デフレ時代の生き残りをかけた牛丼チェーンの顧客争奪戦は、さらに激しさを増しそうだ。


=2010/04/10付 西日本新聞朝刊=

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