▲値上げ,食料品

ウナギ高騰 柳川悲鳴 稚魚不漁、「せいろ蒸し」ピンチ 代替メニュー、減量… 努力も限界

 3年連続の稚魚不漁による養殖ウナギの卸売価格高騰の影響で、福岡県柳川市の名物「ウナギのせいろ蒸し」が昨秋から軒並み値上げされた。各店はウナギの量を減らしたり、暖房を節約したりしてこれ以上の値上げを抑えようと必死だが、「もう限界」「客離れが心配」と悲鳴や不安の声が上がっている。
 
 水産庁によると、稚魚のシラスウナギの漁獲量(推定値)は、2009年は24・7トンだったが、10年は9・2トン、11年は9・5トンと不漁で、今年はさらに深刻という。
 
 柳川には、ウナギ料理を提供する店が約30店あり、タレを絡めて味付けしたご飯にウナギのかば焼きを載せて蒸す「せいろ蒸し」が有名だ。
 
 柳川市内の専門料理店8店舗でつくる「柳川うなぎ料理組合」によると、10年に1キロ当たり2200円前後だったウナギの仕入れ価格は、2月下旬には4850円まで上昇。加盟店では、昨秋から今年2月末にかけて、せいろ蒸しやかば焼きなどを軒並み100―400円値上げした。
 
 料理店にウナギを卸す「龍川魚商店」の龍俊夫専務(37)は「これまでも卸値が4千円まで上がったことはあったが、今回はそれを大きく上回っている。シラスが出荷できる大きさになるまで半年から1年かかるので、今年のシラス不漁は来年のウナギの価格にも影響する」と指摘する。
 
 各店では価格を抑えようと懸命の努力が続く。
 
 江戸末期創業の老舗「若松屋」は、事務所や厨房(ちゅうぼう)の照明、暖房を節約しているが、同店営業担当の吉田千佳子さん(64)は「もう限界です」。昨年3月と今年1月の2度にわたって100円ずつ値上げした。苦肉の策として、今年からウナギの量を減らした定食や、鶏肉を使った親子丼をメニューに加えた。
 
 せいろ蒸しを1月から200円値上げした料亭旅館「御花(おはな)」は、ウナギに代わる豚肉や牛肉、アナゴなどを使った「せいろ蒸し」を開発し2月中旬から提供。立花健太郎マネジャー(37)は「窮余の策ですが、お客さんにとっては選択の幅が広がるのでは」と期待する。
 
 柳川うなぎ料理組合の組合長で、自身もウナギ料理店「古蓮(これん)」を経営する川口治彦さん(67)は「1月から2月にかけてはお客様が最も少なく、ウナギの価格も安くなる時期なのだが、こんなに高騰したのは初めて。お客が最も多くなる夏の卸値の値上げが心配だ」と表情を曇らせていた。


=2012/03/02付 西日本新聞朝刊=

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