▲値上げ,交通

ガソリン7週連続上昇 九州160円台 長崎は全国最高値 各業界、価格転嫁に二の足

 経済産業省資源エネルギー庁が4日発表したレギュラーガソリンの2日現在の全国平均小売価格は、1リットル当たり前週(3月26日)比70銭高の158円30銭となり、7週連続で上昇した。依然として高値水準だが、上げ幅は2円の値上がりだった前週より縮小した。

 国際的な原油価格の高止まりが影響。調査に当たったみずほ総合研究所は「値上がり傾向に一服感は見られるが、イラン情勢などになお注意が必要だ」と話している。

 地域別では38道府県で上昇。値上がり幅が最も大きかったのは滋賀の2円40銭で、福島と山口の2円30銭と続いた。横ばいは青森と栃木の2県、7都県で下落した。値下がり幅が大きかったのは福岡の50銭、神奈川の40銭など。

 価格が最も高かったのは長崎の163円90銭で、9都道県で160円台を超えた。最も安かったのは沖縄の151円20銭、次いで岡山の154円70銭。長崎以外の九州各県は▽福岡159円70銭▽佐賀161円60銭▽熊本158円80銭▽大分162円00銭▽宮崎156円60銭▽鹿児島162円90銭。九州7県の平均は160円90銭。

 今回から、調査主体が従来の石油情報センターからみずほ総合研究所に切り替わり、委託元の資源エネルギー庁がホームページ上で公表。調査内容に変更はない。

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 原油価格高騰によるガソリンや重油などの価格上昇で、レギュラーガソリンの店頭価格が警戒レベルの1リットル=160円台に突入。高騰が続けば、電力不足や消費増税に続く景気下振れ要因になりかねず、九州の関係者に警戒感が広がっている。

 4日の集計でガソリン価格が全国最高値の163円台だった長崎県を地盤とするマツハヤ石油(長崎市)。2008年夏に史上最高値の193円台を付けた苦い経験があり、「現状では客数や購入量に変化はないが、08年のような事態にならないよう祈るばかり」。例年、小売り各社は大型連休前に価格を下げるが、「今年は転嫁が迫られ、経営判断が難しい」とため息をつく。

 福岡市-韓国・釜山で高速船「ビートル」を運航するJR九州高速船(福岡市)は、運賃とは別に設定する片道1500円(博多発)の燃油特別付加運賃を5月から100円値上げ。昨年3月時点の800円から倍増するが、それでも「負担が増えた分の半分も転嫁できていない」という。

 バスの燃料に軽油を使う西日本鉄道(同)も「軽油価格が1円上昇すれば、グループ全体で燃料費が年6千万円膨らむ」。「ソラシドエア」名で運航するスカイネットアジア航空(宮崎市)は「現時点で大きな影響は出ていないが、さらに上振れしたり、高止まりが続いたりすれば収益の圧迫要因になりかねない」と気をもむ。

 大型レジャー施設「セントレジャー城島高原パーク」(大分県別府市)は、来場者の大半がマイカー利用のため「(ガソリン価格の高騰が)長期化すれば客足が鈍るかもしれない」と懸念する。

 一方、液化石油ガス(LPG)については、主要輸入先のサウジアラビアが4月分の輸出価格を2割程度下げると通知したとされ、市況が下がる可能性が高い。LPGを使うタクシー会社の福岡交通(福岡市)の野上正嗣社長は「少し下がりそうだが、中東情勢次第で再び上がることも考えられ、安心できない」。

 メーカーや1次産業にも影響が広がりつつある。包装資材メーカー、大石産業(北九州市)は「食品容器や包装用フィルム製品の値上げを準備中」。耐火物メーカーの大光炉材(同)も、原材料加工に重油を使う納入先の一部から値上げ要請があったという。

 漁船燃料に軽油を使う水産業。16日解禁の底引き網漁を前に、福岡市漁業協同組合姪浜支所の野上政昭運営委員会長は「これからが本番なのに。景気が上向かない中では売値に転嫁できない」。08年には全国一斉休漁に追い込まれており、今回も高騰が続くなら国への陳情を検討すべきだとの声が福岡県漁連内に上がっている。

 ビニールハウス農家でもボイラー用の燃料がかさむ。福岡市内でトマトを栽培する富永孝文さん(38)は電気で温めるヒートポンプへの切り替えも考えているが「投資が500万―600万円かかり、本当は避けたいんだが」と悩んでいる。

=2012/04/05付 西日本新聞朝刊=

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