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NHK きょうから受信料70―120円下げ 衛星契約増で減収対策

 1日からの受信料値下げ。家計には最大で月に缶ジュース1本分程度のプラスだが、大幅な収入減となるNHKは衛星放送の受信契約獲得などで増収を図り乗り切ろうとしている。増収への取り組みが番組に影響を与えないか懸念する声も上がる。

 値下げは不祥事が相次いだNHKの信頼回復と経営合理化に向けた旗印として持ち上がり、昨年、決定した。ラジオの受信料が廃止された1968年以降、初の値下げ。

 受信料はこれまで2カ月払いの場合、地上波だけなら月額1345円、衛星放送も合わせては同2290円だった(沖縄県は別額)。今回、口座振替やクレジットカード払いの契約者は月に120円、コンビニなどで支払う契約者は同70円の引き下げとなった。

 NHK経営計画では2012~14年度、値下げに伴う減収は計1162億円。松本正之会長は「番組の質は落とさない」と番組制作費や職員給与に手を付けず、810億円の増収と経費節減で対応するシナリオを描く。

 増収策の中で最も期待をかけるのが、地上波の受信料に月945円を上乗せしている衛星契約の獲得だ。11年度の衛星契約者数は全契約者の約4割で「のびしろは大きい」(幹部)と毎年約70万件ずつの増加を見込む。

 受信料の支払率アップも目指し、9月25日には都道府県別の支払率に2倍以上の地域差があると公表、「公平負担」をアピールした。滞納者への強制執行、テレビがあるのに未契約の人や会社への提訴も進めている。

 上智大の音好宏教授(メディア論)は、契約獲得や滞納削減が至上命令化していき、“視聴者受け”ばかりを意識した番組制作や編成に陥らないか危ぶむ。「わずかな額の値下げを機に、番組の多様性を担保するという公共放送の基本的な役割が揺らいでは元も子もない」と指摘している。


=2012/10/01付 西日本新聞朝刊=

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