▲値上げ,その他

モノ高く 家計細る秋 食料品、自動車保険...あす値上げ 消費冷え込み 景気腰折れも

 10月1日から、円安基調や原材料価格高騰で幅広い食料品が値上げされるほか、年金支給額の削減や自動車保険料引き上げも加わり、家計の負担は増大する見通しだ。一方、1日にも安倍晋三首相が来春の消費税増税を表明し、税率引き上げに向けた動きは着々と進む。今後、賃金が伸び悩んで「悪い物価上昇」が先行、消費が冷え込んで景気が腰折れする可能性も出てきた。

 輸入小麦の政府売り渡し価格は平均4・1%の引き上げとなる。半年ごとの価格改定に伴って昨年10月以来、3回連続の値上げ。製粉大手は「製品価格に転嫁せざるを得ない」との立場で、家庭用小麦粉やパン、麺類などの値上げになりそう。

 輸入配合飼料の価格高騰で生乳の調達価格が上昇し、明治など大手乳業会社は牛乳の出荷価格を約1~4%上げる。各社は「企業努力では吸収できない水準」と説明。宝酒造(京都市)や白鶴酒造(神戸市)など大手酒造会社も清酒価格を約2~7%値上げする。関係者は「原料の加工用米の価格が急激に上がり、極めて厳しい」と訴える。

 日清オイリオグループがごま油を10%以上値上げするほか、関西の豆腐メーカーは豆腐の出荷価格を約2割上げる方針。全国豆腐連合会(東京)は「原料高騰は深刻」と強調する。モスフードサービスは10月29日から「モスバーガー」などを10円上げる。

 食料品以外でも値上げが広がる。大手旅行会社の海外旅行ツアーの料金は約3~10%上昇。自動車保険の保険料(任意)は、損保大手3社が平均約1~2%上げる。大手都市ガス4社はガス料金を6~11円引き上げる。

 会社員が加入する厚生年金の保険料率(労使折半)は16・766%から17・120%に上昇。諸手当含め月収30万円の人の場合、毎月の天引き額が531円増える。年金額は引き下げが始まり、1%の減額に。国民年金(満額)の場合、月額666円減の6万4875円となる。児童扶養手当などでも減額が始まる。

 一方で消費税転嫁法が1日に施行。スーパーなどの店頭で消費税込みの総額表示義務が緩和され「税抜き」表示が可能になる。来年1月に始まる少額投資非課税制度(NISA)では、10月1日から税務署が受け付けを開始する。

 最低賃金の引き上げは10月上旬から順次開始。時給の全国平均は前年度比15円増加の764円。

 第一生命経済研究所の熊野英生首席エコノミストは「消費者が節約傾向となり、悪い物価上昇と景気悪化が同時に進む恐れがある」と分析する。

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 ▼悪い物価上昇 賃金が増えずに物価だけが上昇すること。安倍政権の経済政策「アベノミクス」で円安が進み、輸入品や暮らしに必要な食料品やガソリンの価格が上がっている。輸出企業など業績が回復した企業が賃上げしなければ、家計の実質所得が減って個人消費が冷え込み景気は回復しない。一方、物価は上るが賃金も上がり、消費が活発になって景気が良くなり、賃金がさらに上がる好循環が生まれるのが良い物価上昇。

=2013/09/30付 西日本新聞朝刊=

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