▲値上げ,食料品

食品・外食 値上げ圧力 円安で原材料費高 大手にらみ地場は対応苦慮 

 円安などの影響で原材料が高騰している食品・外食業界。全国的な値上げ圧力が九州にも及んできた。ただ、大手が値上げを実施した分野と価格を据え置いている分野はまだら模様。地場企業が単独で値上げに踏み切るのは難しく、対応に頭を悩ませる。食品・外食業界の足元の動きを追った。

 1月下旬、福岡市・天神の定食レストラン「やよい軒 天神2丁目店」。食券販売機の前で、タッチパネルを押す客の指が一瞬止まった。チキン南蛮定食は、以前の税込み690円から740円に上がっていた。「財布の負担になるけど、仕方ないか...」と男性客(20)=福岡県水巻町=はつぶやいた。

 やよい軒を展開するプレナス(福岡市)は1月22日から、定食・丼メニューの約7割を20~70円アップした。対象は28品目。大半の定食や丼を値上げしたのは初めてだ。

 円安や新興国の需要増などで輸入原材料の調達費がかさみ、外食業界では値上げが相次ぐ。ジョイフル(大分市)は昨年12月、メニューの9割に当たる約120品目を税別で10円値上げ。リンガーハット(長崎市)も昨年8月にほぼ全てのメニューを約3~5%上げた。外食は自社で値段変更が柔軟にでき、他店と比較されにくいため、価格を改定しやすいとみられる。

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 食品産業では対応が二極化している。即席麺製造販売のマルタイ(福岡市)は昨年10月、主力商品「マルタイラーメン」など約60品目を1月の出荷分から値上げすると発表した。即席麺メーカーは大手の値上げ発表が相次ぎ、地場も価格転嫁しやすかったようだ。

 一方、調味料製造販売のダイショー(同)は、原材料のコショウが高騰する中、生産の合理化に努めるなどして、価格を据え置いている。同社は2008年に塩・コショウ類を平均6・4%値上げした。担当者は「現在の原材料高騰は、当時よりも厳しい実感がある」と漏らす。

 食品メーカーの商品は、スーパーの店頭で競合他社と比較されるため、値上げを我慢する企業は少なくない。イオン九州(同)によると、全商品のうちメーカー側の価格改定で約3%が値上げしている。イオン九州の担当者は「今のところ値上げは大手が中心で、地場企業はまだ少ない印象」と話す。

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 総務省が1月30日に発表した2014年の全国消費者物価指数では、食料が前年比3・8%上昇した。円安による輸入品の高騰や、飼育頭数が減った国内の牛肉の価格上昇などが主な要因という。

 一部には価格上昇を抑制する要素もある。原油価格が急落しており、メーカーにとっては今後、製造費や輸送費、包装資材などが安くなるメリットがある。小麦の国際相場も安定傾向だ。ただ、輸入小麦は政府が年2回売り渡し価格を改定しており、相場が下がった恩恵をすぐには受けられず、模様見が続く。

 九州経済調査協会(福岡市)の小柳真二研究員は「商品の売れ行きが好調になるなど流通の現場で景気回復を実感できれば、値上げに踏み切る企業がさらに増えるかもしれない」とみる。消費者にとっては、昨年4月の消費税増税に加え、食品値上げというダブルパンチだけに「物価上昇に伴って給与が増えることが大切だ」と指摘している。

=2015/02/03付 西日本新聞朝刊=

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