“進化”する久留米の子ども食堂 無料で散髪、英語教室も [福岡県]

子どもの髪をカットする木下吉之助さん
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小学生に英語を教える岩崎ジュリーさん
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 家庭や学校以外の子どもの居場所として定着しつつある「子ども食堂」。元々は親の仕事など家庭の事情により、1人で食事をしなければならない子どもなどを対象に、無料または低価格で食事を提供する目的で設置され、取り組みは全国で広がっている。久留米市によると、市内でも9カ所で定期的に開設されており、中には食事の提供だけでなく、ユニークな取り組みをしている団体もある。子ども食堂を訪ね、最近の事情をのぞいてみた。

 「ドリーム子ども食堂」(同市長門石5丁目)では、第2~4水曜の午後5~7時、カレーライスや牛丼、サラダなどの夕食を無料で子どもたちに提供している。昨年6月に始まり、1回の平均利用者は約20人に上るという。

 食事スペースから隣の建物に足を運ぶと、「食堂」らしからぬ空間があった。4枚の鏡の前に椅子が並び、洗髪用の台も二つ。この場所、実は代表を務める元美容師の木下吉之助さん(58)が所有していた「美容師の卵の練習場」だったのだ。

 「髪を切りながらだと、学校での出来事や友だちの話などをリラックスして話す子どもが多いんですよ」と木下さん。経済的に苦しい家庭にとっては散髪代も負担になると、無料でカットしている。

 大量のおもちゃや大きなソファーもあり、食事を終えた子どもたちが満足いくまで遊んでから帰宅するのだという。「子ども食堂の本質は食事を出すだけじゃない。大切なのは心が安らぐ場所を作ること」

 「グッドモーニング、レッツスタディ!」。合川校区コミュニティセンター(同市合川町)の一室に、流ちょうな英語の発音が響く。フィリピン出身の岩崎ジュリーさん(35)が月2回、土曜午前10時から1時間、近くに住む小学生10人ほどを対象に英語教室を開いている。参加費は資料のコピー費のみだ。

 教室は、子どもたちに英会話を教えてほしいと友人から依頼されたのがきっかけ。授業中の会話はほとんどが英語だ。小文字から大文字を選ばせるクイズや、単数形と複数形の違いをイラストを使って説明するなど、楽しみながら本格的に学べる内容で、ネーティブな発音にも触れられると好評だ。

 センターでは、英語教室開設より少し早い昨年10月に子ども食堂をスタート。毎月第3土曜にカレーライスやサラダを100円で提供しており、毎回約35人が参加している。英語教室の後に、食事する子どもも多いという。現在はまだ英語教室と子ども食堂が連携している訳ではないが、食堂を運営する同校区社会福祉協議会の江頭渡会長は「今後は英語教室への参加の呼び掛けのほか、昔遊び体験など子どもの学びを後押しできる活動も考えていきたい」と話す。

 子どもに新たな居場所を提供する子ども食堂の活動は今、試行錯誤を経て進化し、別の価値を生み出していると感じた。地域づくりの新たな形として、これからも注目していきたい。

=2017/03/16付 西日本新聞朝刊=

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