きめ細かい避難指示を 九州豪雨から1カ月 久留米市民、改善求める声 [福岡県]

一時、氾濫危険水位を超えた金丸川。住民が心配そうに眺めていた=7月6日
一時、氾濫危険水位を超えた金丸川。住民が心配そうに眺めていた=7月6日
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 福岡、大分両県で甚大な被害をもたらした九州豪雨から1カ月が過ぎた。筑後地区でも、7月5日から翌6日にかけ、気象庁のレーダー解析で局地的に100ミリを超える猛烈な雨が降ったとみられ、久留米市では市内全域に避難指示が出た。しかし、呼び掛けに応じた市民の割合は少ないとみられ課題も残った。今回、多くの犠牲者が出た朝倉市、東峰村と地形の似た久留米市山間部では「人ごとではない」と危機感が高まっている。

 久留米市が市内全域約30万6500人への避難指示を出したのは7月5日午後8時だった。市中心部では雨は強くなかったが、気象庁が市町村単位で「数十年に1度」の大雨の恐れがある場合に最大級の警戒を呼び掛ける「大雨特別警報」が出されたことに加え、同市田主丸町の筑後川の水位が高まったことなどを加味して踏み切った。

 風水害のたび、行政や市民の頭をかすめるのが筑後川大水害だ。1953年6月、梅雨前線のもたらした集中豪雨の影響で増水し、堤防が決壊。市街地の大部分が水に漬かり、多数の犠牲者が出た記憶は今も語り継がれている。

 今回の場合、市中心部に近いJR久留米駅西側の瀬ノ下の水位は避難判断水位に達しなかったが、上流部の片ノ瀬(同市田主丸町)では午後8時、危険度がより高い氾濫危険水位を超えた。本流以外でも大刀洗川の西の宮橋(同市北野町)、市街地に近い金丸川の飯ケ口橋(同市津福本町)でも氾濫危険水位に達した。

 結果的に水位は徐々に下がったが、市防災対策課は「判断が遅れれば深夜、未明に危険が高まった可能性もあり速やかに対応した」と、市全域への避難指示について説明した。

 一方で、課題も見えた。避難指示を受け、久留米市が開設した90カ所の避難所に来た人はピーク時でも約380人にとどまり、単純計算すると、市民全体の0・1%程度にとどまった。市中心部などではそれほど雨が降らず、危機感が薄かったためとみられる。

 2005年の1市4町の合併を経て、現在の久留米市は市域が東西に広い。気象庁や市が設置した雨量計によると、最大時間雨量が市役所で6日午前2時の33ミリに対し、東に約18キロ離れた田主丸総合支所は5日午後4時半の75ミリと、地域で雨の降り方や雨量にばらつきがあった。

 近年の大雨の特徴として局地化が挙げられ、予測は一層困難になっている。それでも、雨がそれほど降らなかった地域に避難指示が出され続ければ、信頼性が低下して住民に慣れが生まれ、「いざ」という時に、動かなくなってしまう恐れもある。避難所運営に携わる自治会関係者からは「よりきめ細かい地域割りでの避難指示を」と、改善を求める声も市に寄せられているという。

 市防災対策課は「必要な避難情報をどう、うまく伝えるかは課題。エリアを絞れるかについて他自治体の対応も参考に気象庁との協議も考えたい」としている。

=2017/08/15付 西日本新聞朝刊=

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