亡き先輩に届けた日本一 総体弓道男子初優勝の祐誠高、「天国から力くれた」 [福岡県]

弓道男子団体で初優勝を果たした祐誠高のメンバー
弓道男子団体で初優勝を果たした祐誠高のメンバー
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優勝盾が飾られている木原広斗さんの祭壇
優勝盾が飾られている木原広斗さんの祭壇
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 18歳の若さでこの世を去った先輩に誓った日本一の座を見事に射止めた-。

 久留米市上津町の祐誠高男子弓道部が、全国高校総合体育大会(4日、仙台市)の男子団体で初優勝を果たした。選手に力を与えたのは、病の苦しみを表に出さず、いつも優しく指導してくれた同部OB木原広斗さんの笑顔だった。

 「面倒見のいい子で、昨年の夏休みは部活を引退したにもかかわらず、後輩を教えるため毎日、柳川市の実家から学校に来ていた」。安達淳一監督(57)は、今年3月に卒業した木原さんをしのぶ。3歳で小児がんを患った木原さんは、中学は野球部に所属し、高校入学後に弓道を始めた。入退院を繰り返しながらも、懸命に部活に取り組んだ。

 安達監督が「素直な性格が表れた美しい射形で、レギュラー間違いなし」と期待した木原選手だったが、体力面の不安からマネジャーへ転向。それでもふてくされることなく、献身的にチームを支えた。農業への道を考えていた木原さんだったが、卒業後に体調が悪化し、7月12日に帰らぬ人となった。

 告別式で弔辞を読んだ3年瀧内大史主将(18)は、木原さんの遺影の前で「必ずインターハイで優勝して帰ってきます」と誓った。それから約3週間後の大会。予選から決勝まで6試合で24本の矢を全て的に命中させる活躍をしたのは、木原さんから最も熱心に指導を受けた2年斉藤龍選手(17)だった。

 斉藤選手は「同級生で一番下手だった自分に、基礎から指導してくれた。自分が成長できたのは先輩のおかげ。感謝の思いを込め一本一本弓を引いた」と振り返る。安達監督も「あまりに神懸かり的で鳥肌が立った。木原が天国から力を与えてくれた」と手放しで喜んだ。

 大会後、木原さんの自宅を訪れた選手たちは、木原さんの遺影が飾られた祭壇の前で優勝を報告。母昌美さんは、「広斗のことを忘れずにいてくれて、感謝の気持ちでいっぱい」と目を赤くさせた。今も木原さんの遺影のそばには、部員が贈った優勝盾が置かれている。

=2017/08/19付 西日本新聞朝刊=

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