芸生かし、秘境の里PR 八女市の地域おこし協力隊、徳永潤さん 矢部村、自然の魅力発信 「人を呼び込む『入り口』に」 [福岡県]

八女市矢部村の特産品を手にする徳永潤さん
八女市矢部村の特産品を手にする徳永潤さん
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フェイスブックに開設した「矢部村放送局やべんもん」
フェイスブックに開設した「矢部村放送局やべんもん」
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荘厳な雰囲気の漂う八女津媛神社。四季を通じてさまざまな姿を見せる
荘厳な雰囲気の漂う八女津媛神社。四季を通じてさまざまな姿を見せる
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 あるときは俳優、あるときは曲芸師、しかしてその実体は-。7月から八女市の地域おこし協力隊員として活動する徳永潤さん(44)だ。これまで殺陣や南京玉すだれといった日本の伝統芸能を組み合わせた独自のショーを国内外で披露してきたほか、舞台や映画でも活躍してきた。現在の拠点は山間部の矢部村。異色のPRマンが現れた。

 「いらっしゃいませ、矢部村にようこそ」。インターネットのフェイスブックに開設した「矢部村放送局やべんもん」。月1、2本程度投稿している動画は恒例のあいさつから始まる。10分ほどの動画は村の今をニュース形式で紹介。季節のスケッチ映像や子どもたちによる伝統芸能の練習風景、村の祭りの様子などを発信している。

 「人が自然に寄り添いながら生活していて、恵みの大きさを感じる。自分は秘境を好きな人たちを呼び込むための『入り口』になりたい」

 矢部村には約1300年の歴史を持つとされる八女津媛神社のほか、南北朝時代の史跡も多い。現在は、市の観光物産交流施設「杣(そま)のさと」の運営を手伝いながら、地域の魅力を伝えるため、カメラ片手に地域を回る日々だ。

 久留米市出身。高校時代には文化祭や地域の演劇祭などでひとり芝居を披露してきた。社会人になってからは、県内外の劇団に助っ人として参加。佐賀県嬉野市の歴史テーマパーク「肥前夢街道」で忍者役を、長崎県佐世保市のハウステンボスではショーの進行役を務めた。

 先々で出会った役者や曲芸師からさまざまな芸能を学び、自らの芸の幅を広げてきた。そうして完成したのが「祝い曲芸」と名付けたショー。殺陣や曲芸、「和妻」と呼ばれる日本古来の奇術などを組み合わせたもので「似たようなことをやる人はなかなかいない」と胸を張る。

 祭りやイベントなどにお呼びが掛かり、公演回数は年間20本ほどに上る。米国ロサンゼルスやアラブ首長国連邦のドバイでも観客を楽しませてきた。「広く日本の文化を知ってもらい、興味を持ったジャンルがあったら、それを専門にしている方のところに見に行ってもらいたい」

 そんなエンターテイナーがなぜ矢部村のPRマンになったのか。知人の村民からの勧めに加え、「自分のスキルがどう生かせるのか試してみたい」との思いがあったからだという。

 地域おこし協力隊員としての活動の傍ら、引き続き各地でショーも開いているが、その中で矢部村のPRを口上で挟むようになった。さらに培ってきた人脈を生かし、福岡市のテレビ局で矢部村のブースを期間限定で設置することに成功。訪れる人に村の特産品や見どころなどを紹介した。

 1950年代に6千人を超えていた矢部村の人口は現在1200人ほど。過疎化は深刻だ。それでも「マイナスと捉えるか可能性と捉えるか。都会に住む人は非日常の体験をしたい。矢部村はそんな人の思いに応えることができる癒やしの場所」と信じる。

 今後はイベント開催などに知恵を凝らし、観光客の呼び込みを図る。「大自然の中でのキャンプ」「おいしい水を使ったコーヒー入れイベント」…。ショー同様、人をびっくりさせるようなアイデアが出てくるかもしれない。

=2017/12/09付 西日本新聞朝刊=

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