西日本新聞電子版サービス

「青春の門」23年ぶり再開 特集・おかえり信介しゃん(1) [福岡県]

「青春の門 筑豊篇」の連載を始めたころの五木寛之さん
「青春の門 筑豊篇」の連載を始めたころの五木寛之さん
写真を見る

 「筑豊篇」の舞台 若手記者が訪ねる

 おかえり信介しゃん!

 戦前戦後の福岡・筑豊を舞台にした「筑豊篇(へん)」から始まる長編小説「青春の門」が今月、23年ぶりに再開される。田川で生まれた伊吹信介が東京から北海道、旧ソ連へと舞台を広げ成長していく物語は、多くの読者にとって“青春のバイブル”だった。

 作者の五木寛之さんの構想では、29歳になった信介が古里に戻り、香春岳と再会。青春の終わりとともに完結する。1969年の連載開始から半世紀。世代を超えて愛される名作を振り返るならまさに今。20代後半の記者2人が時の流れをさかのぼり、筑豊篇を飾ったあの場面、あのころの青春を訪ね、歩いた。

 第2回「香春岳 信介を待つ母なる山」

   ◇   ◇

 ◆「筑豊篇」あらすじ

 炭鉱の町で生まれた、主人公の伊吹信介がたくましく成長していく姿を描く大河小説(未完)の第1作。筑豊篇の時代は戦前から戦後。「川筋男」として炭鉱員らの間で伝説となった父伊吹重蔵の面影を追い、義母のタエ、幼なじみの牧織江に抱く「性の目覚め」も成長の糧にしつつ、信介は筑豊で青春の第一歩を踏み出す。

 作者の五木寛之さんは福岡県八女市出身で、少年時代に茶の行商で筑豊を訪れている。その際、感じた人々の活気、香春岳やぼた山、遠賀川が織りなす風土の思い出をもとに、筑豊を「作家としての古里」、信介を自らの「分身」として筑豊から物語を始めたとされる。

 ◆「筑豊篇」関連年表

1901 父伊吹重蔵生まれる
 32 五木寛之さん八女市(旧辺春村)に生まれる
 35 主人公伊吹信介、田川で誕生。生母は直後に死去
 36 栄町のカフェーで働いていた女給森島タエが重蔵の元に
   朝焼けに染まる香春岳が信介の心に深く刻まれる
 40 重蔵、落盤事故の労働者を救い、自らは爆死
 41 骨富士と恐れられたぼた山の頂上でタエと一晩過ごす
 48 信介、タエとともに飯塚の塙竜五郎宅に身を寄せる
 51 飯塚の高校に入学
 54 結核のため療養を続けていたタエが死去
   大学入学が決まり、上京(筑豊篇終了)
 57 竜五郎が大けがをしたと知り、いったん帰郷
 61 25歳の信介が、ソ連・シベリアから欧州を目指す(風雲篇)
 64 信介筑豊に帰る。香春岳と対面(五木さんの構想)
 69 「青春の門(筑豊篇)」の雑誌連載始まる
 94 第8部・風雲篇の途中で雑誌連載中断
2016 連載再開を発表

=2017/01/01付 西日本新聞朝刊(筑豊版新年号)=

◆好評の西日本新聞アプリ。30日分の全紙面と速報ニュース。初月無料でお試し!

西日本新聞のイチオシ [PR]

西日本新聞のイチオシ [PR]