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SLの雄姿に復興願い 熊本市職員、九州鉄道記念館で写真展 [福岡県]

熊本県内の風光明媚な景色の中を走るSLを捉えた写真展「彩輝道」の会場
熊本県内の風光明媚な景色の中を走るSLを捉えた写真展「彩輝道」の会場
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 熊本県内を走る蒸気機関車(SL)の雄姿を、風光明媚な景色とともに切り取った写真展が門司区の九州鉄道記念館で開かれている。撮影したのは熊本市上下水道局職員の青山昌充さん(54)。昨年の熊本地震で何度も足を運んだJR豊肥線が寸断され、自身は水道の復旧に奔走した。会場では力強く走るSLに復興の願いを込め、震災前に撮った約80点を展示している。

 力強く煙を吐くSL。満開の桜並木や雄大な阿蘇の山々などが作品を彩る。「熊本の風景の一部にSLを織り込むのがコンセプト」。青山さんの写真にはSLと故郷への愛がにじむ。

 熊本市の豊肥線水前寺駅近くで育ち、「SLの汽笛が子守歌代わりだった」。大学を出て関東で働いた後、郷里に戻り市に就職。近所の男性が豊肥線を走る「SLあそBOY」の写真集を出したことに刺激され、1992年からSLの撮影を始めた。

 「あそBOY」がいったん引退した2005年までは主に豊肥線沿線、修理を経て「SL人吉」として復活した09年以降は肥薩線や鹿児島線で、カメラを構えた。「感性、根性、数打ち」を信条に四半世紀で約1500日、沿線に通った。

 冬季を除く週末などに1往復するSLを車やバイクで追い掛ける。1日20~30カ所を回ることもある。昨年も例年通り撮影に励むはずだった。SL運行が始まって2週間後の4月14日夜、熊本地震の前震が発生。約30分後、職場に駆け付け漏水地点を確認して回った。二十数時間働いて帰宅したところを本震が襲い、再び復旧作業に追われた。

 「人吉」は4月29日に運転を再開。5月、沿線に出掛けると力走するSLの姿があった。「震災前と同じように、当たり前に走ってくれるありがたさを感じ、疲れた心が癒やされた」

 九州鉄道記念館での写真展は、「熊本の再起動」という意味も込めタイトルを「彩輝道(さいきどう)」と名付けた。「いつか、震災前の風景が戻ってきてほしい」。作品1点1点に、切なる願いを込める。2月5日まで。入館料(大人300円など)で観覧できる。

=2017/01/12付 西日本新聞朝刊=

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