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若松の「カンガルーの王国」に潜入した ボスの座巡る駆け引きも [福岡県]

飼育員の斉藤さんとじゃれ合う、オオカンガルーの群れのボス「香月」
飼育員の斉藤さんとじゃれ合う、オオカンガルーの群れのボス「香月」
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尻尾を支えにして「両足キック」を序列上位のカンガルーにお見舞いする「香月」(右)=(2012年撮影、ひびき動物ワールド提供)
尻尾を支えにして「両足キック」を序列上位のカンガルーにお見舞いする「香月」(右)=(2012年撮影、ひびき動物ワールド提供)
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序列下位の仲間たちにのし掛かられながらも、くつろぐ上位のオオカンガルー(右手前)
序列下位の仲間たちにのし掛かられながらも、くつろぐ上位のオオカンガルー(右手前)
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 本来は臆病な性格のカンガルーと触れ合える動物園が若松区にある。響灘緑地内の「ひびき動物ワールド」だ。飼育数は約300頭で全国最多。まさに“カンガルーの王国”だ。そのユニークな生態に迫ってみた。

 冷え込みが厳しい今月上旬の昼時。園内では、大型の「オオカンガルー」約100頭が身を寄せ合っていた。頭や背を私がなでても気にするそぶりはない。隣では、母親カンガルーの袋の中から赤ちゃんがひょこっと顔を出した。

 園内には、国内での公開例が少ない小型の「シマオイワワラビー」(約200頭)と中型「ケナガワラルー」(4頭)もいる。開園直後の1989年には10頭ほどしかいなかったが、自然繁殖で増加。袋の中で育つ時期から飼育員が世話をし「人間は敵ではない」ことを教え込むという。

 「かーづきー!」。飼育員斉藤純子さん(28)が声を上げると、ひときわ大柄なオオカンガルーが跳びはねて来た。約100頭の群れを統率する「香月(かづき)」(12歳、雄)だ。普段は背中を丸めているが、斉藤さんに飛びついた際の体長は150センチほどあった。

 「群れが安定するには、ボスの存在が欠かせません」と斉藤さん。5年前の写真を見せてもらうと、若き日の香月が強烈な両足キックをライバルに見舞っていた。序列争いだ。「カンガルーのパンチは内臓を破裂させるほど強い」(斉藤さん)。両足キックではどれほどの威力なのか…。冷や汗が出たが「人前で争うことは、そうない」そうだ。

 なぜだろう? 実は「園内のカンガルーの序列では、ボスよりも上位に飼育員が位置づけられている」からだという。ちなみにカンガルーたちが「飼育員たちのトップ」と目しているのは、ベテラン赤平真美さん(37)。斉藤さんと一緒にいると、態度が露骨に違うそうだ。

 群れに目を戻すと、香月は足を投げ出しリラックス中。驚いたことにボスのおなかを枕に、序列下位の仲間たちが寝転がっている。野生ザルの餌付けで有名な高崎山自然動物園(大分市)のボスとずいぶん違う。香月はなぜ威張らないの?

 ひびき動物ワールドによると「カンガルーの生態は解明途上で確たる答えは分かっていない」という。野生のものは人間を警戒するため研究困難とされてきた。それでも同園での四半世紀超に及ぶ飼育で「交尾してから妊娠までの期間が定説より半年以上長い例がある」など、国内初の発見もあったという。

 香月から少し離れた場所に、序列2位「なると」(9歳、雄)と3位「ソルト」(11歳、雄)の姿があった。ボスの様子をうかがっているのか。「良く観察していると、ボスの座を巡る駆け引きが見えてくる」(斉藤さん)。「人間模様」ならぬ「カンガルー模様」に、妙に親近感を抱いてしまった。

=2017/02/17付 西日本新聞朝刊=

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