「ギター小僧」が三味線に初挑戦 弾く前の構えで四苦八苦 [福岡県]

「さくらさくら」を練習。うまく音が出ず、四苦八苦しながらバチを動かす私(手前)
「さくらさくら」を練習。うまく音が出ず、四苦八苦しながらバチを動かす私(手前)
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 弦3本からつま弾かれる旋律が、心に響く三味線。中学生からの「ギター小僧」でハードロックやヘビーメタルの演奏に興じてきた記者(31)は学生時代から「いつか三味線を」と思っていた。「エレキギター歴は約20年。多少は弾けるはず」。意気揚々と三味線教室に向かった。

 「長唄三味線杵勝会(きねかつかい)」九州支部長を務める杵屋勝千次さん(65)の教室(小倉北区魚町3丁目)。一番弟子の勝千吾(かつせんご)さん(49)にマンツーマン指導を受けた。

 「まずバチを持ってみましょう」。右手の小指と薬指の間にバチを挟み、人さし指から薬指をくっつけたままで支える。バチの広がった部分を親指で上から押さえるのが、正しい持ち方だという。ギターのピックと違い、大きなバチを押さえる指はぎこちない。

 次は三味線の持ち方。座布団の上に正座し、右太ももに敷いたゴム製の布の上に、三味線の胴体部を置く。ポイントは「胴体が(太ももの外に)半分以上出るように置くこと」(勝千吾さん)。さらに3本の弦がはっきり見えるように、胴体を自身の体側に倒し「竿(さお)は斜め45度に構える」という。自由な構えがOKのギターとは勝手が違う。

 右手をまっすぐ下ろし胴体を支えようとするが、三味線はぐらぐら動く。「左手で竿を持たなくても、本体が動かないのが正しい構え」と先生。悪戦苦闘の末、少し動かなくなるポイントを発見した。

 ようやく練習曲「さくらさくら」に挑戦だ。ギターにある節目「フレット」がない三味線は、音を出すのは耳頼り。押さえる場所を示す印付きの初心者用を借り、弦をバチではじくが、音がうまく出ない。弾きたい弦にバチが当たらなかったり、明瞭な音が出なかったり。「出したい音は、押さえる場所を感覚で覚えるほかない」(勝千吾さん)との言葉に気が遠くなる。

 一音鳴らす度に、胴体にバチを当てなければならないのだが、その動作ももたつく。左手で弦を押さえるのも難しく「親指はまっすぐ立てたままで」と何度も注意された。ギターの癖でつい、竿を握り込むと「また親指が曲がってますよ」。意識していないと、全てが雑になる。ギターの腕前を過信していただけに、ここまで四苦八苦するとは…。

 一小節ずつ丁寧に教わった。一音一音に全神経を集中させ、弦をはじいた。何度も反復し、ようやく一曲を弾き終えると、心の中でガッツポーズ。約1時間の体験稽古を終えると「うまくなれますよ。大体1回演奏を見たら分かるんです」。勝千吾先生からお褒めの言葉をいただいた。

 レッド・ツェッペリンやジミ・ヘンドリックス、メタリカの曲を弾いていた学生時代、津軽三味線の名人高橋竹山さんの演奏をテレビで見て衝撃を受け、邦楽のすごさを知った。実際に三味線を手にして、その奥深さ、難しさ、楽しさを実感した初挑戦だった。教室の問い合わせは、小倉北邦楽協会事務局=093(521)5352。

=2017/03/17付 西日本新聞朝刊=

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