「復讐するは我にあり」モデルの死刑囚取り調べ 元警察官丸川さん逝く 北九州地区で刑事として活躍 被害者らの鎮魂願い水墨画も [福岡県]

内閣総理大臣賞を受賞した作品を披露する在りし日の丸川英夫さん(2009年10月)
内閣総理大臣賞を受賞した作品を披露する在りし日の丸川英夫さん(2009年10月)
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静かに営まれた丸川さんの葬儀
静かに営まれた丸川さんの葬儀
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 作家佐木隆三氏(故人)の直木賞受賞作「復讐(ふくしゅう)するは我にあり」のモデルになった西口彰元死刑囚を取り調べた、行橋市南大橋の元行橋署警察官、丸川英夫さん(92)が亡くなり14日、市内で葬儀が営まれた。退職後、本格的に取り組んだ水墨画では、西口事件の被害者らの鎮魂を願いながら創作。過去に作品の一つは国内有数の公募書画展で最高賞にも輝いた。

 丸川さんは台湾生まれで終戦後、福岡市に引き揚げ県警に入った。主に北九州地区の警察署で刑事として働き、行橋署勤務の1963年10月、西口元死刑囚の事件が起きた。苅田町や静岡市、東京で計5人を殺害した元死刑囚を、丸川さんは19日間にわたって取り調べた。葬儀の喪主で亡くなるまで一緒に暮らした次男の有三さん(63)は「西口事件で夜中に『今から捜査に行く』と父が家を出たことをよく覚えている」と振り返る。

 一方、在職時から水墨画を描くことが趣味だった丸川さんは退職後、創作活動を本格化。2009年には、「公募日本藝術(げいじゅつ)書展」で内閣総理大臣賞を受賞した。「5人の被害者と西口元死刑囚の供養のため、描き続けたい」と語っていたという。

 晩年は孫2人、ひ孫4人に恵まれたが、2年半前に体調を崩して入退院を繰り返し13日朝、行橋市内の病院で息を引き取った。葬儀では家族と親しい知人らが見送った。長男の秀三さん(64)=神奈川県在住=は「穏やかな父だった。息子として『ありがとう』と言いたい」と話していた。

=2017/12/15付 西日本新聞朝刊=

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