広谷湿原「国際条約登録を」 高校生の汗と熱意行政動かす 東筑紫学園高(小倉北区)理科部 企業に訴え、議会に陳情 [福岡県]

北九州市議会の環境水道委員会で陳情する東筑紫学園理科部の生徒たち=昨年8月
北九州市議会の環境水道委員会で陳情する東筑紫学園理科部の生徒たち=昨年8月
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平尾台の広谷湿原=昨年5月
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 広谷湿原のラムサール条約登録を目指して、東筑紫学園高(小倉北区)理科部の生徒たちが登録推進運動や調査、保全活動を展開している。専門家を会長に招いた登録実行委員会を結成し、これまでに地元企業を訪問しての協力要請を繰り返してきた。2017年の市議会陳情は市を動かし、登録方針を決めるきっかけになった。

 理科部が湿原の調査を始めたのは1994年。測量により、94年に1157平方メートルだった湿原が、2010年には449平方メートルに縮小していたことを突き止めた。縮小を止めるため、湿原周辺の石積みに小石を詰めるなどの保全活動を開始。17年には920平方メートルまで戻った。

 実行委は16年に発足。17年8月には部員が市議会環境水道委員会に陳情し、湿原の重要性を説明した。市は「高校生たちの陳情が、登録を本格的に検討するきっかけになった」と説明する。17年の1年間で、企業への訪問や経営者団体での講演は30回を超えた。実行委は地場企業からの後援や協賛も得ている。

 理科部の湿原調査リーダー松下仁亮さん(17)=2年=は「北九州市内でも湿原を知らない人が多かった。関心を持つ人を増やしたい」。部長の小森菜央さん(17)=同=は「保全する価値を強調してきた。登録が認められれば、うれしい」と話す。

 3年のオーウェン・ウィリアムソンさん(19)は、大学入試の面接で理科部について説明した。活動は面接官に驚かれ、合格。「20年以上にわたる理科部の活動も、国際条約への挑戦も、いずれも誇らしい」と胸を張った。

■北九州市、国に申請方針 ラムサール条約

 カルスト台地の平尾台(小倉南区など)に形成された湿原「広谷湿原」について、北九州市は、国際的に重要な湿地を保全する条約「ラムサール条約」への登録を目指す方針を固めた。通常、ほとんどの雨水が地下に流入する石灰岩のカルスト台地では湿原は見られないといい、希少な例。市は新年度以降、調査を実施して登録が可能か判断し、環境省に申請する。2021年に予定される条約締約国会議での登録を目指す。

 登録には九つある国際基準のいずれかを満たすことが必要。広谷湿原はカルスト台地にあり、絶滅危惧種の植物、昆虫も観察できることから、関係者によると国際基準のうち「希少なタイプ」「絶滅の恐れのある種を支える」などに合致する可能性があるという。

 市は地質や水系、動植物について、国際基準を満たすか確認するため、四季を通じた調査の費用を予算計上する。登録範囲を湿原だけとするか、地下水系まで含めるかなども検討する。締約国会議はおおむね3年に1度開催。次回は今年10月にアラブ首長国連邦のドバイであるが、湿原の調査には1年以上要すると見込まれ、21年予定の会議を目指す。

【ワードBOX】ラムサール条約

 国際的に重要な湿地を保全するための条約。1971年にイランのラムサールで採択された。締約国は約170カ国。環境省によると、国内では湿原や干潟、沼沢地など50カ所が登録されている。九州には荒尾干潟(熊本県)、肥前鹿島干潟(佐賀県)など6カ所ある。

=2018/01/27付 西日本新聞朝刊=

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