“先進地”福岡も後退傾向 資産公開制度、「監視の目」弱体化 [福岡県]

 富山市議会での政務活動費を巡る不正をきっかけに、地方議員の「政治とカネ」に注目が集まるが、「議会改革」の一つとして30年以上前に導入が始まった資産公開制度は、全国793市区議会(政令市除く)のうち、43議会(2014年12月末現在)の導入にとどまっている。うち15市議会は福岡県内で「資産公開の先進地」とされるが、飯塚市議会が今春に廃止するなど、県内外で後退気味だ。

 議員の資産公開制度は、地位を利用して不正に財産を増やすなどの行為がないかを明らかにするため、土地や預金といった資産を、年1回公開する仕組み。政治倫理条例の中で規定されるケースが多い。同条例に詳しい斎藤文男九州大名誉教授によると、地方議会の資産公開制度は1983年に堺市での制定が初。汚職事件などが多発した福岡県内では86年の飯塚市を皮切りに、資産公開制度が相次いで導入された。

 しかし、法律で議員の資産報告書提出が義務付けられている福岡市や北九州市などの政令市以外には広がらず、全国市議会議長会によると、導入は43議会と全体の約5%にすぎない。

 一方で、導入自治体の中にも、「名ばかり公開」と批判されるケースがある。

 兵庫県宝塚市議会は、市議の報告書作成を定めているが一律公開はせず、閲覧には「有権者の100分の1以上の署名提出が必要」と規定。制度ができた11年以降、公開は一度もない。

 同県尼崎市議会は報告書提出を義務付けておらず、未提出者が続出。本年度も対象市議41人のうち提出は23人だけという。

 「先進地」の福岡でも、15年に八女市議の1人が「多忙」を理由に提出しなかったほか、嘉麻市議会では森丈夫市議(79)が昨年に続いて今年も提出を拒否。「入札参加制限などの点で、(資産公開を定める)政治倫理条例には不備がある。不十分な条例には従えない」と主張する。

 また県内では、未提出の議員の氏名公表を規定している市はあっても、それ以上の罰則規定はない。

 政治資金オンブズマン共同代表の上脇博之神戸学院大教授は「市民側が目を光らせるオンブズマンなどの団体が、近年は構成員の高齢化や後継者不足で弱体化していることも、資産公開の後退の背景にあるのではないか」と分析している。

=2016/09/24付 西日本新聞朝刊=

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