政活費で海外視察、報告書ゼロ 福岡県議会、総額2971万円 [福岡県]

 福岡県議会が、政務活動費(政活費)を使った海外視察について、2015年度から議長への報告書提出を内規で義務付けたにもかかわらず、英国やカナダなどを視察した与野党会派(延べ98人)が、まだ1件も提出せず、閲覧できないことが県議会事務局への取材で分かった。視察費に充てた政活費は総額約2971万円に上る。政治活動の透明性を高める目的で導入した報告制度が有名無実化している格好で、議論を呼びそうだ。

 事務局などによると、15年度は自民党、民主党・県政クラブ(当時)、緑友会、立志会の4会派の議員がラグビーワールドカップ(W杯)イングランド大会やドバイの観光振興策などの調査を目的に計13カ国・地域を視察。1人で、あるいは超党派の訪問団を組んだケースもあった。最も古い視察は帰国から1年3カ月以上、経過している。

 県議会は昨年2月、政活費による海外や県外の視察について、会派で取りまとめた報告書を議長に提出することを決め、内規の事務処理要領を改訂していた。報告書は情報公開請求の対象となっているため、報告がなければ閲覧できず、視察の妥当性を第三者が判断するのは難しい。

 事務局によると、報告書の提出がなかったため、今年6月、議長の了解を得て各会派に8月末をめどに提出を促した。その後、数件の視察については議員側が報告書のたたき台を作成、提出を準備中という。ある議員は「国政選挙の対応などでバタバタしていた」と釈明。中尾正幸議長は「視察の成果は議会の質問などに反映しているが、提出義務付けのルールを徹底したい」と話す。

 佐賀大の畑山敏夫教授(政治学)は「視察の中身や成果をできるだけ速やかに議員が証明するのは当然の責務だ。税金の使途が分からないのは問題だ」と指摘している。

=2016/09/24付 西日本新聞朝刊=

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