介助犬、普及進まず 九州に2匹、店や職場に「壁」 [福岡県]

「介助犬を拒否されると、自分自身を拒否された気持ちになる」という義間祐子さん
「介助犬を拒否されると、自分自身を拒否された気持ちになる」という義間祐子さん
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 身体障害者や高齢者の日常生活を手助けする介助犬の普及が進んでいない。厚生労働省によると、全国で70匹程度、九州では2匹にとどまっている。介助犬に対する社会の認識不足、理解不足が根底にあるようだ。

 福岡市早良区の義間祐子さん(34)はバリアフリーのマンションを購入しようとした際、不動産会社に「供用部分に犬を持ち込むと入居者の迷惑になる」と言われ、断られた。

 2002年に施行された身体障害者補助犬法は、公共施設が介助犬の同伴を拒むことを禁止しているが、民間は努力義務。民間も安易に断れないはずだが、義間さんは「理屈を付けられれば強く要求できない」と残念がる。

 九州で最初の介助犬利用者となった大分県別府市の米盛晃さん(41)も、ラーメン店などで入店を拒否されたことがある。「盲導犬のようなハーネス(胴輪)を付けていないので、最初はペットと間違われる。介助犬だと説明しても『盲導犬じゃないから駄目だ』と断られた」。介助犬と生活を共にして7年になるが、社会の理解は「ほとんど進んでいない」と感じる。

 手や脚の障害を補う介助犬は、盲導犬よりも役割が多く、利用者に応じて多様な能力が必要だ。介助犬の認定を受けるには、利用希望者と1カ月ほど自宅や公道、職場などで訓練をしなければならない。

 だが、介助犬を育成している認定NPO法人「九州補助犬協会」(糸島市)によると、介助犬を連れて行くことに職場の理解が得られず、訓練を諦める障害者が少なくない。

 訓練を終えても、さらなる壁が待つ。国の認定審査機関が九州にないため、犬を連れて最寄りの兵庫県まで行かなくてはならない。審査は数回にわたる場合があり、途中で認定を断念する人もいるという。九州補助犬協会が負担する1匹300万円以上の育成費は、その多くを寄付に頼る。

 九州補助犬協会副理事長の桜井昭生さん(61)は「認定機関を増やすことも必要だが、介助犬への社会の理解が深まることがより重要。介助犬を連れた人も、そうでない人も暮らしやすい社会になってほしい」と願っている。

=2017/05/20付 西日本新聞朝刊=

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