ベルギー人記者が見た福岡都市圏 開放的な気質に感激 伝統と現代 見事な融合 [福岡県]

ベルギー人ライターのグレタ・ヴァン・ティーネンさん(右)とカメラマンのイングリッド・ハネスさん
ベルギー人ライターのグレタ・ヴァン・ティーネンさん(右)とカメラマンのイングリッド・ハネスさん
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街角で出会った県警音楽隊 (C)INGRID HANNES
街角で出会った県警音楽隊 (C)INGRID HANNES
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岩田屋創業80周年を祝うため、舞踊の披露に駆けつける博多券番の芸妓(げいぎ)にも出くわした (C)INGRID HANNES
岩田屋創業80周年を祝うため、舞踊の披露に駆けつける博多券番の芸妓(げいぎ)にも出くわした (C)INGRID HANNES
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アイランドシティを訪問し、福岡市のベイエリア開発も取材した。写真は体験学習施設「ぐりんぐりん」の屋上 (C)INGRID HANNES
アイランドシティを訪問し、福岡市のベイエリア開発も取材した。写真は体験学習施設「ぐりんぐりん」の屋上 (C)INGRID HANNES
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仕事帰りの人や旅行客、さまざまな人が集う屋台 (C)INGRID HANNES
仕事帰りの人や旅行客、さまざまな人が集う屋台 (C)INGRID HANNES
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 チョコレートにワッフル、小便小僧にフランダースの犬の舞台-。ベルギーは日本人にもなじみ深い文化を持つ国として知られる。日本と国交を結んで150周年となる今年、ベルギーから2人の記者がやって来た。ライターのグレタ・ヴァン・ティーネンさんと、カメラマンのイングリッド・ハネスさんだ。同国の新聞「De Standaard」に旅行ルポを掲載するために3週間、福岡都市圏で取材した。世界各地を旅してきた2人の目に「FUKUOKA」はどう映ったのか。寄稿文と写真から見つめた。

 私が担当するベルギー国営ラジオの夜のクラシック音楽番組が始まるころ、福岡では朝を迎える。私はこれまで村上春樹や谷崎潤一郎の作品や源氏物語といった古典を読み、小津安二郎の映画も見たが、現代日本の本当の姿は、現地で人々と触れ合うことでしか理解できないと思っていた。すると旧知の日本史学者が、日本ならば福岡をと薦めてくれた。なぜなら港町としてアジア諸国の客をもてなしてきた歴史があるから開放的なのだと。3週間の滞在で、それは事実だと感じた。

 博多の御供所地区を散策していると、寺院で創造的な絵を展示していたアーティストと知り合った。近隣の僧侶を紹介され、日本庭園を眺めながら僧侶が奏でる笛の音色に耳を傾け、抹茶と菓子までいただいた。通りかかった呉服店では、店主が中に招き入れてくれた。ちょうど長い帯と格闘しながら着付けを練習している人がいて、私たちは博多っ子の開放的な気質に驚き、感激した。

 太宰府天満宮では神道とアートの融合を図る神職や、IT企業に務めていた女性神職と語り合った。彼らは実に自然体で伝統文化を継承し、伝統文化抜きの日本は空虚なものだと認識していた。日本の神社は七五三や合格祈願などの風習を通じて暮らしに根ざしている。こんな伝統と現代の融合は、たたえるべき日本の神髄だろう。

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 高級百貨店や外資ブランド店、巨大なパチンコ店が並ぶ繁華街は消費者を魅了するが、そこに心を満たすものはないように思えた。福岡が誇るべき宝物は、街角で見かけるささやかな風景ではないか。七五三を祝う家族の姿や、オアシスのような寺院の庭、屋台で隣の人と交わす笑顔-。福岡は大都市でありながら、人々の息づかいを感じることができる。

 唯一の課題は若者でさえ英語を話せる人が少ないこと。そのため、交流の機会が限られることだった。とはいえ、互いを理解しようとする姿勢があれば旅の楽しみは味わえる。たとえ日本語をしゃべれなくても、日本文化や歴史に関心があることが伝われば、福岡の人は温かく迎え入れてくれるだろう。

 今回、案内役を務めてくれた元市職員は、ベイエリアや現代建築も見せてくれた。夜は、福岡在住フランス人や日本人と海鮮料理を囲みながら建築談議をした。英語、フランス語、日本語が入り交じる様子は、さながら多国籍クラブといったところだった。そして“笑い”は誰もが理解できる国際的な言語だった。

 いつの日か福岡に戻ってくることを願う。この旅で出会った友人に会いに。そして新たな友人と出会うために。
(グレタ・ヴァン・ティーネン)

 ▼日本ベルギー国交150周年 1865年に薩摩藩遣英使節団が日本人として初めてベルギーを訪問すると、翌66年に修好通商航海条約を締結した。明治時代には日本から織物やガラス産業などを学ぶ使節団が渡り、ベルギー芸術界では日本ブームが起きた。

=2016/11/29付 西日本新聞朝刊=

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