百人一首で朝倉の魅力発信 まちづくりシンポで提言 かるた大会の継続重要 [福岡県]

百人一首や歴史、文化を生かしたまちづくりについて話し合ったシンポジウム。スクリーンでは里中満智子さんの漫画「天上の虹」の場面も紹介された
百人一首や歴史、文化を生かしたまちづくりについて話し合ったシンポジウム。スクリーンでは里中満智子さんの漫画「天上の虹」の場面も紹介された
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 百人一首や歴史、文化を生かしたまちづくりについて考えるシンポジウム「あさくら天智天皇物語」(百人一首朝倉大会実行委員会主催)が11月19日、朝倉市であった。小倉百人一首の筆頭歌は、天智天皇が朝倉で詠んだとされる「秋の田の かりほの庵(いほ)の 苫(とま)をあらみ わが衣手は 露にぬれつつ」。シンポジウムでは、ゆかりの地ならではの地域おこしに関する提言も出された。

 -西日本新聞社・大久保昭彦編集企画委員会委員 競技かるた「百人一首朝倉大会」を開いた経緯について。

 九州かるた協会・内川信幸会長 =天智天皇を祭神とする恵蘇(えそ)八幡宮の=上原実二宮司と市の担当者から「天智天皇ゆかりの地でかるた大会を実施したい」という提案を受け、2013年3月に地元の協力を得て、第1回大会を開いた。「初心者でも楽しめる大会」という趣旨で、参加者も年々、増えている。

 九州産業大・浅川哲郎教授 百人一首に経済的価値を加える仕組みを考えたい。頭と手先を使う特徴を高齢者医療とつなげられないか。例えば朝、百人一首をした後、東峰村で小石原焼のろくろを回し、その後は原鶴温泉に。朝倉でリハビリ、高齢者向けの若返りの取り組みをセットで販売することを提案したい。

 森田俊介市長 市長に就任後、朝倉の一体感を生み出すために(100枚の札を20枚ずつ5色に分けて取り合う)五色百人一首を全小中学校に配布し、大会も開いている。五色や競技かるた大会を通じて、他地域に朝倉のイメージやブランドを高める効果があり、結果的にそれが地域おこしにつながると思う。

 漫画家・里中満智子さん 百人一首大会は、大津市の近江神宮が有名だが、続けることが一番大切だ。では、どうやって子どもに親しんでもらうか。百人一首の多くの歌が二重、三重の意味が込められており、文字数が少ないので多様な解釈もできる。一方、漫画「ちはやふる」がヒットし、競技かるたも人気だ。百人一首そのものと、競技かるたの面白さを伝えていけばよいのではないか。

 -大久保 観光にはインバウンド(訪日外国人客)も重要な視点。朝倉を海外にPRする方法は。

 浅川 日本を訪れる外国人は文化に関心を持っている。百人一首は日本の文化そのもの。米国でも競技かるたをする人が増えており、朝倉に体験できる場を作ってはどうだろうか。

 内川 海外にかるた会があるのは中国、韓国、フランス、米国…。ユーチューブなどでいろいろな国の文化を知ることができ、競技かるたの本格的な大会の映像も見ることができる。情報発信がうまくできれば、世界中の人が日本の文化を知ることができる。

 里中 百人一首の歌を絵にする▽外国語に置き換える▽曲をつける-など、インターネット上でアイデアを募集したら面白いのではないか。費用をかけずに盛り上げるような仕掛けも必要だ。

 -大久保 百人一首以外の地域おこしの取り組みや今後の展望は。

 内川 大会の参加者は会場近くのひまわり園の見物や農産物直売所での買い物も楽しみにしている。朝倉を知らなかった人も大会を通じて、朝倉の歴史や食べ物の魅力を知り、「個人的に行ってみよう」となる。だからこそ、大会を継続することが大切だ。

 浅川 菅原道真も百人一首の歌を詠んでいるので、朝倉市が太宰府市と連携を進めることを提案したい。朝倉の良さが伝わる取り組みを大学としても支援し、一緒に考えたい。

 森田 百人一首を即まちづくりにつなげるのではなく、まずは、朝倉に百人一首を根付かせることが重要だ。朝倉には秋月や山田堰(ぜき)などいろいろな歴史がある。一つ一つをまちづくりにつなげることは難しい課題だが、取り組んでいきたい。

 里中 原鶴温泉に入りお湯の良さを実感した。温泉は地元では当たり前かもしれないが、地域ごとにお湯が違う。そうしたこともきめ細やかにPRし、温泉水を使った化粧水のような商品開発を進めてはどうか。

 -大久保 里中さんのような小さな気づきも大切ではないか。朝倉地域が持っているそのような気づきが人の心を引きつけるだろう。 (一部、敬称略)

   ◇    ◇

【パネリスト】

 天智天皇も登場する漫画「天上の虹」の作者・里中満智子さん

 九州かるた協会・内川信幸会長

 九州産業大・浅川哲郎商学部教授

 朝倉市・森田俊介市長

【コーディネーター】

 西日本新聞社・大久保昭彦編集企画委員会委員

=2016/12/01付 西日本新聞朝刊=

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