山笠基礎資料をデジタル化 江戸期「祇園祭禮 山笠歳代記」、人形師・中村さん保存 [福岡県]

「祇園祭禮 山笠歳代記」。標題の上下左右に人形の名前を記し、配置が分かるようになっている
「祇園祭禮 山笠歳代記」。標題の上下左右に人形の名前を記し、配置が分かるようになっている
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中村信喬さん
中村信喬さん
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 国連教育科学文化機関(ユネスコ)無形文化遺産となった「博多祇園山笠」(福岡市)の歴史を伝える貴重な原書の一つである古文書「祇園祭禮(さいれい) 山笠歳代記(さいだいき)」のデジタル保存に博多人形師の中村信喬さん(60)=同市中央区=が取り組んでいる。市博物館や博多祇園山笠振興会によると、同書は山笠研究の基礎資料で中村さん所蔵本以外に現存していないという。祭りの継承に向けて貴重な資料となりそうだ。

 同書は江戸時代初期の1680年から幕末にかけての記録集。2人の博多町人が1811年に他の文献を書き写し、その後、別の人物が記録を引き継いだとみられる。年ごとに標題や当番町、時々のエピソードが書き添えられている。戦後、山笠振興会が刊行した本は同書などを基にしている。

 山笠は合戦や歌舞伎、神話などを基に標題につけ、複数の人形を飾る。同書では標題の上下左右に登場人物の名前が書かれ人形の配置が分かる。江戸中期以降、現代の舁(か)き山笠では例が少ない見送り(後方)の標題も登場する。配置や見送りの標題は山笠振興会の刊行本には載っていない。市博物館の宮野弘樹学芸員は「根本資料として残そうとする作者の意図が感じられる」と話す。

 中村さんは同書を人形師で山笠人形も担当した父・故衍涯(えんがい)さんから引き継いだ。4年ほど前から、約400ページをカメラで撮影しパソコンで保存。今後、くずし字の解読を専門家に依頼する。中村さんは「本には走り書きで福岡藩主の姫様が山笠見物をしたり、火事に遭ったりしたことが書かれている。博多の貴重な文化財として残したい」と話している。

=2017/02/24付 西日本新聞朝刊=

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