「釜石の奇跡」教訓に 福岡沖地震12年で研究者が講演 [福岡県]

東日本大震災の時に多くの命を救った防災教育について語る群馬大大学院の片田敏孝教授
東日本大震災の時に多くの命を救った防災教育について語る群馬大大学院の片田敏孝教授
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市民防災センターでの啓発イベントで、はしご車に乗せてもらう子どもたち
市民防災センターでの啓発イベントで、はしご車に乗せてもらう子どもたち
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 福岡沖地震から12年。毎年3月20日を「市民防災の日」と定めている福岡市では、東日本大震災の教訓を伝える講演会や、地震を疑似体験して防災意識を高めるイベントが開かれた。

 福岡市役所では、群馬大大学院の片田敏孝教授(災害社会工学)が講演。「災害時は自分の命を責任を持って守ることが大切」と呼び掛けた。片田教授は、岩手県釜石市で防災教育に取り組み、その成果は、東日本大震災で小中学生の大半が助かった「釜石の奇跡」として知られている。

 釜石市には、世界最大水深の防波堤があったため、かえって防災意識が薄れていたという。「小学生が『じいちゃんが逃げんでも大丈夫だと言った』と話す。大人が逃げる姿勢を見せることが子どもの命も救う」と高齢者に説く一方で、小中学生には自力で逃げる意識を浸透させ、子どもを迎えに行こうとして津波に巻き込まれる被害の防止にもつながったという。

 片田教授は地震が少ないとされた熊本や鳥取などの地震を例に「確率が低いことが、絶対に安全ということではない」と指摘。日本海側の防災についても「大陸との距離が短いため、津波が起きた場合は繰り返し起きやすい」と警戒を促した。

 一方、福岡市早良区百道浜の市民防災センターでは、市民が福岡沖地震と同じ震度6弱を体験できる施設でとっさの対応を学んだり、消火体験をしたりした。育児中の親や外国人を対象に、非常時に向けて家庭で備蓄すべき物や心肺蘇生法について学ぶ講習会も今回初めて行われた。

 同市西区吉武の主婦(42)は長男(4)と一緒に地震を模擬体験。「大きな揺れが来ると、慌ててしまって頭を守ることを忘れた。日ごろから練習して意識付けしておくことが大切だと実感した」と話した。

=2017/03/21付 西日本新聞朝刊=

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