イタリア人男性が一家で社務所に 中央区の宇賀神社 空き家に移住「日本文化学びたい」 [福岡県]

社務所の縁側に腰を下ろすレオナルド・マローネさん(左)と下假正徳さん
社務所の縁側に腰を下ろすレオナルド・マローネさん(左)と下假正徳さん
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宇賀神社の本殿に飾り付けられる「馬人形」=昨年7月
宇賀神社の本殿に飾り付けられる「馬人形」=昨年7月
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 福岡市中央区の都心部、江戸時代から地域住民に氏神として親しまれている神社の社務所に今夏、異色の一家が移り住んだ。イタリア人のレオナルド・マローネさん(43)と、その家族。空き家になっていた社務所に住み込んでくれる人を宇賀神社(同区大宮)役員会が探していると聞き、手を挙げた。マローネさんは「外国人の自分を受け入れてくれた日本人はとても柔軟。地域の祭りや行事をもっと知りたい」と目を輝かせる。

 マンションに囲まれた公園の一角。宇賀神社は享保の大飢饉(だいききん)(1732年)の後、福岡藩の6代藩主・黒田継高が五穀豊穣(ほうじょう)を祈って創建したとされる。本殿には「落ちそうで落ちない」本物そっくりの馬の人形が飾られており、合格祈願の神様としても話題になった。

 その境内にある木造の社務所に6月1日から妻のカヤさん(37)=中央区出身=、7歳と3歳の2人の息子とともに住むマローネさん。「こんにちは。きょうも暑いですね」。社務所での主な役目は境内の清掃と、参拝者の出迎えだ。

 ローマ大学で東洋美術を研究していたころ、ローマの専門学校で建築を学んでいたカヤさんと知り合い、2003年にカヤさんと来日した。現在は中央区今泉にあるイタリア会館・福岡でイタリア文化やイタリア語を教えており、日本語は流ちょうだ。

 「神社にはいろんな人が参拝に来て面白い。『きれいに掃除してくれてありがとう』と声をかけられると励みになる」。常連のお年寄りと話し込み、昔話を聞くのも勉強になるという。

 社務所は代々、神社や氏子の関係者が住み込んでいたが、16年間、社務所を守ってきた女性が3年前に亡くなり空き家に。「日本文化をもっと知りたい」と応募したマローネさんは神社役員や町内会長、住民代表による2回の面接を経て社務所を任された。面接を担当した神社役員の下假(しもかり)正徳さん(76)は「いつもニコニコしていて、人当たりが良い」と人柄を語る。

 社務所の役割の一つに、一般の人が立ち入ることができない本殿奥の部屋の掃除がある。鍵のかかった部屋で、月2回、神棚などを掃除する。

 「神道は神、人、自然全てがフラットだと思う。この考え方はとてもユニーク」とマローネさん。「まずは宇賀神社の歴史を勉強したい」。日本文化への探求心は深まるばかりだ。

=2017/08/01付 西日本新聞朝刊=

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