着物で街へ、博多満喫 川端でレンタル、着付けも 和のスポット巡り若旦那気分 [福岡県]

レンタル着物店での着付けでは、かかし状態で身を任せる
レンタル着物店での着付けでは、かかし状態で身を任せる
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和服姿で櫛田神社を訪れた博多ガイドの会の街歩き下見の参加者たち
和服姿で櫛田神社を訪れた博多ガイドの会の街歩き下見の参加者たち
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東長寺では「五重塔」をバックに参加者が互いに撮影会
東長寺では「五重塔」をバックに参加者が互いに撮影会
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 いま博多では「着物で街歩き」が熱いという。この秋、承天寺(じょうてんじ)(福岡市博多区)で開かれたイベント「和の博多」はあでやかな着物姿の女性客であふれ、博多川端商店街では和装系のショップが増加中。とは言え大多数の庶民にとって着物は、憧れはあっても何となく腰が引けるもの。いったい着物で街を歩くのってどんな感じ? ここは風流な粋人の気分を体感すべく、初冬の週末、慣れぬ着物に袖を通し、博多の街に飛び出した。

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 やはり男一人での着物は気恥ずかしいので、和装の街歩きを企画する「博多ガイドの会」の下見ツアーにまぜてもらうことにした。

 自前の着物はないので当然レンタル。今夏、同商店街にオープンしたばかりの和装系ショップ「マインキューブ川端店」(峯拓摩店長)へ。主力は「おしゃれ着小紋」と呼ばれるポリエステル製のカジュアルな着物で「浴衣の秋冬版と思ってもらえれば」と同店スタッフの川野由季さん。

 「予約すれば、男性用で30種類、女性用なら100種類は用意できる」。その言葉通り、店には赤系やゴールドなど色とりどりの男性用の着物がずらり。無難に渋めの紺のアンサンブルを選んだが、帯だけは派手目に黄色をチョイスし、少しだけ自己主張。柄はもちろん博多帯の献上柄だ。

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 着付けはお任せ。峯店長に「まず肌着を」と促されて軽くびっくり。殿様の白い寝間着みたいなのを想像していたが、渡されたのはTシャツ風。足袋もよくある親指の分かれた靴下みたいな品で、いきなりのハードルの低さに「こりゃ簡単そうだ」とひと安心。

 着物はかっぷくのいい人が似合うと聞く。入社以来15キロも太ったメタボ腹に自信を持って臨んだが、足りないらしく「少しタオルを使いましょうか」。2枚を巻いた上から伸縮性のサポーターでぐいぐい締められ、さらに着物、帯と着せられる間、かかしのように両手を広げて直立。最後に羽織を着せられ、20分ほどで完了。部屋から出ると、峯店長や女性参加者から「よくお似合いですね」「こんな似合う人いませんよ」と絶賛され、お世辞と分かっていても悪い気はしない。

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 まずは博多祇園山笠で有名な櫛田神社へ。やはり着物は動きにくい。難儀に感じていた時、同行の女性たちが「何だか身のこなしも自然と日本人らしくなるみたい」と笑い合うのを聞いてハッとした。不自由ゆえに小さな段差にも用心し、裾が乱れないよう小股で歩く。知らず知らずに細やかな所作を大切にする和の身のこなしになるのでは-。

 歩幅を縮めてゆったり歩めば、普段見過ごしていた風景も目に入る。風にそよぐ枝の動きを感じ、いつもの境内が別の場所のように見えてくるから不思議だ。

 東長寺では「五重塔」を背景に各自スマートフォンで撮影会。名刹(めいさつ)ひしめく御供所界隈(かいわい)を散策し、庭園の風情あふれる承天寺通りを闊歩(かっぽ)すれば、いまさらながら博多には「和の装い」に調和するスポットが無数にあることを実感する。

 2時間も歩くと、暗くなってきた。ガイドの会の幹部に「商家の若旦那みたいですね」とひやかされ、時代劇の登場人物になった気分(若くないが)。「それじゃ一杯いきますか」。誘われるまま近くの角打ち店へ。風の中、ドラマ「鬼平犯科帳」のラストで流れる哀愁を帯びたスパニッシュギターが聞こえた気がした。

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 博多ガイドの会は来年2月以降毎月、和装での街歩きを実施する計画。同会事務局(博多区役所)=092(419)1012。

 マインキューブ川端店のレンタル着物料金は、着付け代や小物一式込みで1泊2日3800円。同店=092(710)7881。

=2017/12/26付 西日本新聞朝刊=

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