同じ境遇の母子に寄り添う 夜間保育園を開設した中洲のママ [福岡県]

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 福岡市の繁華街・中洲にほど近い上川端商店街。草野真由美さん(51)は、その一角に昨年10月、夜間保育園「マミーハウス保育園」をオープンした。毎夕、子どもたちの肩を抱き、華やかな化粧をした母親の後ろ姿を見送る。「子どもが幸せであるためには、まずお母さんが幸せでないと」。自らに言い聞かせるようにうなずく。

 飲食店経営の多忙な両親の元に生まれ、「お手伝いさん」に育てられた。10歳の時に両親が離婚。中洲のスナックに勤めだした母と暮らしたが、すれ違いの生活が続いた。

 中学卒業後に家を出て、喫茶店で働いた。年齢をごまかし、スナックで源氏名を名乗ったこともある。26歳で中洲にクラブを出店し「ママ」として仕事一筋で生きてきた。34歳で妊娠。いったんは結婚したものの、子育ては働きながら1人ですることにした。生後5カ月の長女を夜間託児所に預けた。寂しそうに母を待つ子どもたちの姿に、幼少時の記憶がよみがえった。

 「昔の私がここにいる」

 そこから決意が芽生えた。「私と同じ境遇の子どもと女性たちに寄り添い、子どもの成長を温かく見守るような保育園を、いつかつくろう」

 2016年、クラブの「ママ」を続けながら博多区冷泉町で念願の夜間認可外保育園を開設した。同年、運営費や整備費の助成が受けられる国の制度「企業主導型保育事業」が始まったのを機に、園を現在の場所へ移して再スタート。中洲で働くシングルマザーの子どもたちで、園は瞬く間にいっぱいになった。

 保育時間は午後2時~午前6時で、料金は0~2歳児が月3万円台。「銀座で生後間もない息子を預けると60万円ほどかかる」と、途方に暮れた女性が、保育園を頼って移り住んだこともある。

 一方で泥酔して迎えに来る親や、わが子を散歩に連れ出したことがない親も。「子どもの心を癒やし育むのは、親の役目ですよ」-。月に1度の子育て塾で熱弁を振るう。

 現在は保育士の資格を取るための勉強にも励む。「もっとたくさんの母親に希望の手を差し伸べたい」。保育園で、夜の店で、子ども2人を育てる家庭で。一人三役の「ママ」の挑戦は続く。

=2018/01/16付 西日本新聞朝刊=

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