西日本新聞

熊本県

県内初起訴内容を否認 傷害致死を弁護側主張 殺意の有無争点に

2010年03月17日 18:15
 熊本県内7例目となる裁判員裁判の初公判が16日、熊本地裁(柴田寿宏裁判長)であった。審理されるのは、未成年の娘の交際相手を包丁で刺し殺したとして、殺人罪に問われている植木町投刀塚(なたつか)の会社役員、上野祐斎被告(43)。

 冒頭、上野被告は「殺意はなく、殺害したというつもりはありません」と起訴内容を否認。弁護人も「傷害致死罪であり、また、過剰防衛が成立する」と主張した。

 県内の裁判員裁判で、起訴内容を争うのは初めて。殺人罪と傷害致死罪は「殺意の有無」が異なり、法定刑は大きく違う。過剰防衛が認められた場合、減軽の対象となる。

 検察側は冒頭陳述で、殺意について「殺害の意欲だけでなく、死亡させる危険性の高い行為だと分かっていながら、あえてその行為を行ったことも含み、本人の話からだけで判断するものではない」と説明。

 「被告が鋭利な包丁で被害者の腹を手加減せずに3回刺したという状況から、殺意は認められる」とした。また、被害者から暴力や脅し文句を受けた状況もなく、過剰防衛も成立しないと指摘した。

 一方、弁護側は「被告は被害者ともみあいになった実父を守るために包丁で被害者の腹を刺し、その後、自分に向かってきた被害者に恐怖を感じて再度、被害者の腹部を刺した」と主張した。

 事件時に現場に居合わせた被告の実父が弁護側の証人として出廷。「被告から積極的に被害者を攻撃したのではないか」という検察の質問に、「していません」。男性裁判員の1人が「被害者は数回刺されたとあったが、被害者から血が出ていると気付いた時はすでに数回刺された後だったのか」と問うたが、「よく分からない」と答えた。

 17日は被告人質問などが行われ、判決は19日の予定。公判で示される証拠や被告人の証言を通して、「殺意の有無」を裁判員たちがどのように判断するかが注目される。

 起訴状によると、上野被告は昨年9月8日午後11時20分ごろ、植木町投刀塚の会社事務所で、長洲町の無職、洲崎昌司さん=当時(38)=の腹部を包丁で3回刺し、殺害したとされる。


=2010/03/17付 西日本新聞朝刊=

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