
大津波に流され、建物の上に取り残された遊覧船。小雪が舞っていた=3月27日、岩手県大槌町(撮影・中村太一)
東日本大震災から10日-。足を踏み入れた被災地は、繰り返し流されていたテレビ映像とも、新聞で見た写真とも違っていた。建物の屋上に取り残された大型の遊覧船。大津波に洗い流された人口数万人の街…。残されていたのは、がれきの山ではなく、人の生活の跡だった。ぼうぜんとした。
余震が続く中、まだ多くの人が、家族の手掛かりや思い出を探し、がれきの迷路の中を歩き回っていた。それでも希望を絶やさないたくましさや笑顔にも出会うことができた。「私よりつらい人もたくさんいるから」。避難所で肩を寄せ合いながらも、前を向いて話してくれる人たちがいた。
震災直後の非日常的な光景は、復興が進むにつれ少しずつ消えていくのだろう。だが、私たちが決して忘れてはいけない光景でもある。